「“電力大余剰時代”は来るのか(前編) 〜人口予測を基に考える〜」で使用した、いわゆる「16年遅延モデル(日本の電力消費量は、16年前の日本の人口と相関がある)」は、反響があったようです。
そして、説得力のある強い反論もいくつか頂きました。今回、この機会に再検証(再計算)を試みました。
反論 | 検証結果の概要 | |
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(1) | 相関といっても、所詮はグラフの移動を目視しただけの江端の主観に過ぎない | もっとも単順な線形相関(いわゆるY=Ax+B)を使用しても、その相関係数は0.994となり、客観性が認められると考える(一般に0.7以上で「相関が『強い』」といわれる) |
(2) | 「16年遅延モデル」の論理付けができていない | (a)このモデルは「16歳未満の人間が、電力消費者としては未完成である」という仮説に基づくものであり、今回改めて検証を試みた。 (b)16歳未満の人間を取り除いた人口と消費電力との相関関係を調べてみた結果では、相関係数0.933となり、仮説に一定の根拠が与えられたと考える。 |
(3) | 家庭利用と産業利用の電力消費量は傾向が違う | 傾向は同じである。連載時にデータで確認済み(というか、これが同じ傾向だったことには、私が驚いたくらい)。 |
(4) | 技術上のパラダイムシフト(大量の電力を使うようなサービスの登場など)を考慮していない | (a)言うまでもなく、未来のパラダイムシフトは誰にも分からない (b)しかし過去においては、様々な時代のパラダイムシフトポイント(テレビや冷蔵庫の使用者の拡大、東海道新幹線の倒叙)を調べても、16年モデルから逸脱するような電力消費は認められない |
この「16年遅延モデル」の仮説が正しいか間違っているかは、時間が経過してみないと分かりようがありませんが、いずれにしても「人口が減れば、使われるエネルギーが減り、CO2も減る」ということは、自明な自然現象です。
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