“切れない無線”。これが、ダスト・ネットワークスの根本になる。リニア・テクノロジーでダスト・エバンジェリストを務める小林純一氏は、「産業向けIoT(モノのインターネット)などでは、一瞬でも通信が途切れたらそれが致命傷になる」と話す。“切れない無線”は、複数の通信ルートを確保できる空間的冗長性、15チャネル、75MHz幅で送信周波数を変化させるチャネルホッピングによる周波数冗長性、さらにマイクロ秒単位で行う時刻同期によって実現されているという。「空間、周波数、時間。この3つのどこかに必ず“(データを送信できる)すき間”がある。これら3つを軸にした“3次元”のネットワークを築くことで、堅ろう性を確保している」(同氏)。
ダスト・ネットワークスは、「IoTの“ラスト100m”を狙う」と小林氏は話す。「IoTでは、物理的に離れた場所にセンサーを配置する。そうなると、それらのセンサーからのデータを束ねるところが必ず必要になる。そこにダスト・ネットワークスが使われるというイメージを持ってもらえればいいかと思う。IoTあるいはM2Mの下にぶら下がるサブネットワークを構築する要素として、IoTの“ラスト100m”とか“ラスト1km”の部分を狙う」(同氏)。
ダスト・ネットワークスは2.4GHz帯を使用するが、顧客からは920MHz、いわゆるサブギガヘルツ帯を追加してほしいという要望が多いという。これは、もっと送信距離がほしいといった理由からだ。IoTの“ラスト1km”を狙うとなると納得のいく要望だが、現時点ではこれに対応する計画はない。小林氏は「業界では、2.4GHz帯のZigBeeで苦労したので、920MHz帯が注目を浴びるようになったという流れがあるが、これは決して2.4GHz帯が使えないというわけではない。当社は、当面は2.4GHz帯に重きを置く」と強調している。
ダスト・ネットワークスの製品ラインアップも、拡充を図っていく。まずは温度範囲を、これまでの−40〜85℃から、−55〜105℃に広げたものを間もなくリリースする。さらに2015年内に、高出力のパワーアンプやLNA(低ノイズアンプ)を搭載したものも発表する予定だという。
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