2015年第1四半期(1〜3月期)のウェアラブル端末市場は、8四半期連続で成長した。その成長をけん引したのは、フィットネス向けの端末だ。「Apple Watch」でスマートウオッチへの注目は高まったものの、市場成長要因には、まだなっていないようだ。
ウェアラブル機器市場は2015年第1四半期(1〜3月期)に、8四半期連続の成長を記録した。この成長をけん引したのは、フィットネス用腕時計型端末などのシンプルな機器だった。スマートウオッチは、ウェアラブル機器の出荷のうち25%を占めるにとどまっている。「Apple Watch」の登場により、こうした状況は変わるのだろうか。
市場調査会社のIDCによると、ウェアラブル機器メーカーは、2015年第1四半期に1140万台の機器を出荷した。前年同期の380万台から3倍も増加したことになる。
数量ベースでウェアラブル機器メーカーのトップに立ったのはFitbitだ。同社は390万台の活動量計を出荷し、32.4%のシェアを獲得している。それに続くのはXiaomiで、出荷台数は280万台、シェアは26.4%だった。トップ3の最後にランクインしたのはGarminで、出荷台数は70万台、シェアは6.1%だった。
これら3社はすべて、活動量をトラッキングして記録する低価格(100米ドル以下)の製品を製造している。
IDCでウェアラブル関連のリサーチマネジャーを務めるRamon Llamas氏は、2015年6月2日付のリポートの中で、「ホリデーシーズンの商戦期後に売り上げが減少したにもかかわらず、ウェアラブル端末市場は2015年第1四半期に成長を遂げている。エンドユーザーの関心の高まりや、ウェアラブル端末の種類の増加などが、その要因として挙げられる。さらに、新興市場からの需要が増加し、ウェアラブルメーカーが、そこでシェアを伸ばそうとしていることも大きいと見られている」と説明している。
スマートウオッチは出荷数に大きな影響を与えなかった。
Samsung Electronicsは60万台のウェアラブル端末を出荷し、5.3%のシェアを得て、何とか市場第4位に食い込んだ。ただし、同社の全てのウェアラブル端末がスマートウオッチというわけではない。IDCは、Samsungのウェアラブル端末に対応するスマートフォンがもっと多ければ、ウェアラブル端末ももっと売れただろうとしている。Samsungのウェアラブル端末「Gear」「Gear 2」「Gear Fit」「Gear 2 Neo」「Gear S」と連携するのは、同社のハイエンドスマートフォンだけに限られていた。
Jawboneは出荷数50万台、シェア4.4%で第5位にランクインしている。IDCは、6位以下のメーカーの出荷台数合計を290万台としている。
2015年第1四半期中に出荷されたウェアラブル機器全体のうち、フィットネス用のウェアラブル端末が75%を占めている。一方、Motorola Mobility、LG、その他のメーカーのスマートウオッチの出荷台数は280万台にとどまった。
Llamas氏は「Appleの登場がこの状況をどのように変えるかが今後の注目点である。Apple Watchは、他のウェアラブル端末の“対抗品”となるだろう。Appleの参入によって、ウェアラブル市場の上位を維持するための競争は、激しさを増すと思われる」と分析している。
実際、Googleはウェアラブル端末向けのプラットフォーム「Android Wear」の新しいバージョンを発表し、同市場での競争力を強化した。最新版では、より多くの機能を使いやすく、そして追加しやすくなっている。LGは、ハイエンドのスマートウオッチ「Watch Urbane」を、ASUSは「ZenWatch」を発売した。
Appleは、ウェアラブル市場で未知なるスタートを切った。同社の幹部らは売れ行きについて多くを語ろうとしない。Apple Watchの発売によって、あらゆるスマートウオッチへの関心も高まったものの、「1140万台」という数字は、ウェアラブル市場にとって、まだ先は長いということを意味している。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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