電源ICメーカーであるトレックス・セミコンダクターは、車載/産業/医療機器といった用途向けビジネスの展開を強化している。世界的な電源ICメーカーへの飛躍を狙い2015年6月から新しい経営体制を敷き、新たな3カ年中期経営計画に挑む。
ワールドワイドで「電源ICならニッポンのトレックス」といわれるようになる――。ちょうど20年前の創業から、トレックス・セミコンダクターを率いてきた藤阪知之氏は、トレックスの将来的な目標をこう表現した。
その藤阪氏は、先月、2015年6月25日に長く務めてきた社長を退任し、会長に就任した。
藤阪氏は「一段と事業を飛躍させるため」とその狙いを話す。社長として藤阪氏とともにトレックスの陣頭に立つことになったのが、芝宮幸司氏だ。トレックスの事業拡大の契機になったソニーの「ウォークマン」へのリセットIC納入を営業担当として実現するなど、創業時から営業面で事業を支えてきた。
「半導体業界に30年以上、従事し、多くの新規ビジネス立ち上げにも携わってきた。そうした経験を生かして、世界市場での飛躍に向けて努力したい」と社長としての抱負を語る。
藤阪会長、芝宮社長体制となったトレックスは、リーマンショック以降進めてきた「新分野攻略」というチャレンジを一層、加速させていく。
それまで、ウォークマンからページャー(ポケットベル)、携帯電話、そしてスマートフォンとモバイル民生機器向けが中心だった事業を、車載機器、産業機器向けへと拡大。モバイル機器で培った小型化/省電力をコア技術としつつ、車載/産業機器市場で特に要求される品質/信頼性を高めることで徐々に民生機器向け以外での受注を獲得。2015年3月期には売上高99億7100万円のうち、約37%を車載/産業/医療機器向け売上高が占めるようにまでなった。
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