世界レベルでのシェア拡大を実現すべく、製品強化も実施する。コア技術である小型パッケージング技術、省電力技術を生かした独自性のある電源ICを投入していく。例えば、コイル一体型のモジュールタイプの電源IC「micro DC/DC」(XCLシリーズ)だ。競合他社も同様のコンセプトのモジュールタイプ電源ICを投入しているが、その多くはコイル上(または下)に電源IC、コンデンサを実装するスタック型、ないし、ICとコイルなど部品を水平に並べるマルチプルタイプだ。
トレックスでは、スタック型、マルチプル型双方のモジュールタイプ電源ICをラインアップする他、独自のポケットコイル型を製品化している。ポケットコイル型はモールドしたICに覆いかぶさるようにコイルが積層されているもの。他の構造よりも、スイッチングノイズの放射を抑えることのできる特長を持つ。そのため、ノイズ、サイズの問題からLDOレギュレータを選択していた用途などでも、高効率のスイッチングレギュレータを採用できるようになり、低ノイズが要求される車載機器や産業機器で採用が拡大する。
さらに、小さな筐体にGPSなど無線デバイスを持ち、なおかつ、高効率が要求されるウェアラブル機器にも最適な電源ICとして「世界的に著名な端末を含めて受注が拡大している」(芝宮氏)という。ウォークマンからスマートフォンまで実績を積み重ねてきた民生向けビジネスでも、ウェアラブル機器分野へとビジネス領域を広げている。「ウェアラブル機器は医療や産業用途でも使用される。そのため、明確な区別はしにくいが、2018年3月期にはウェアラブル関連向けとしても6億円程度売り上げ、市場をリードしたい」としている。
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