量産を開始したSTM32F745及びSTM32F746/756は、最大動作周波数が216MHzで、動作電圧1.8V時に最大6CoreMark/mWの処理効率を達成した。SRAMが省電力モードとなるストップモード時の標準電流は100μAとわずかである。こうした性能を実現するため、新製品は90nmプロセス技術を用いて製造する。その上、フラッシュメモリへのアクセス時間を削減する独自のART Acceleratorやグラフィックエンジンの処理性能/消費電力を最適化する電力調整機能などを搭載している。
STM32F745は、メモリ容量が最大1Mバイトのフラッシュメモリや320kバイトのRAMを始め、イーサネットやクワッドSPI、カメラなどに向けた各種インタフェース、フレキシブルメモリコントローラなどを搭載している。STM32F746は、TFT液晶パネルの制御回路を集積した。STM32F756は、STM32F746の機能に加えて、GCMとCCM、トリプルDES、ハッシュ(MD5、SHA-1、SHA-2)に対応したAES-128/192/256用ハードウェアアクセラレーションを提供する暗号化/ハッシュプロセッサを搭載している。
パッケージは、外形寸法が14×14mmのLQFP100から、28×28mmのLQFP208まで揃えたほか、10×10mmで端子ピッチが0.65mmのUFBGA176、13×13mmで端子ピッチ0.8mmのTFBGA216、5.9×4.6mmのWLCSP143なども用意している。サンプル価格(参考)は、フラッシュメモリ容量が512kバイトで100端子LQFPの「STM32F745VE」で、約6.73米ドルとなっている。
STM32F7の量産出荷に合わせ、ARM mded/Arduino互換の開発キット「STM32F7 Discovery Kit」も同時に出荷を始めた。タッチパネル/ディスプレイやステレオオーディオ、マルチセンサー、セキュリティおよび高速通信の機能などが搭載された小型ボードに、包括的なファームウェアライブラリ「STM32Cube」が付属されている。開発キットの価格は49.90米ドルである。
この他、パートナー企業のソフトウェア開発ツール、ARM mdedオンラインコミュニティで提供される開発エコシステムを活用することができる。開発エコシステムには、STM32F7 Discovery Kitとは別に、2種類の評価ボードが用意されている。
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