シースルー発電フィルム、三菱化学が市場開拓へ : 屋根や屋上だけではない、窓や壁でも発電できる
三菱化学は、有機薄膜太陽電池を用いた「シースルー発電フィルム」を実用化し、市場開拓を始めた。窓用フィルム分野については、スリーエム ジャパンと製品開発及び市場開拓で協力していく。
三菱化学は2015年8月、有機薄膜太陽電池を用いた「シースルー発電フィルム」を実用化し、市場開拓を始めた。窓用フィルム分野については、スリーエム ジャパンと製品開発及び市場開拓で協力していく。
太陽光発電システムは、建物の屋根や屋上面に加え、窓や壁面などを有効活用することが、発電量をより多く確保するために必須となっている。特に、パネル設置場所が限定される都市部などにおいては重要だ。しかし、一般的な無機系太陽電池では、透明性や色、重量などの点で、一般的な窓や壁面、トップライトなどに取り付けることは難しかった。
三菱化学の有機薄膜太陽電池技術は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「有機系太陽電池実用化先導技術開発」に採択されており、これまで窓や建物外装などにおける使用を目指して実証実験を行ってきた。この結果、実用化のめどが立ったことから、市場開拓に乗り出すこととなった。
三菱化学はスリーエムジャパンと協力して、仙台国際センターの渡り廊下に窓用シースルー発電フィルムを設置し、実証実験を行っている
今後は、市場の状況を見極めつつ顧客の要望を取り入れながら、太陽電池のエネルギー変換効率や耐久性のさらなる向上に取り組む。これによって、シースルー発電フィルムの市場拡大を図っていく計画である。
ブルーライト99%カット! 目に優しい有機EL照明
三菱化学とパイオニアは2015年7月、ブルーライトレス塗布型有機EL照明モジュールを開発したと発表した。従来有機EL照明に比べ、ブルーライト成分を99%以上カットしたという
太陽電池、これまで10年これから10年(前編)
EE Times Japan創刊10周年を記念し、主要技術の変遷と将来を紹介する。太陽電池は燃料を必要としない未来の技術としてもてはやされてきた。しかし、国の産業政策は必ずしも成功してはいない。では技術開発の進展はどうだったのか。これまでの10年とこれからの10年を紹介する。
有機薄膜太陽電池で変換効率10%を達成、実用化に大きく前進
理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター創発分子機能研究グループの尾坂上級研究員らによる共同研究チームは、半導体ポリマーを塗布して製造する有機薄膜太陽電池(OPV)で、エネルギー変換効率10%を達成した。同時に、変換効率を向上させるための分子構造や物性、分子配向と素子構造の関係などについても解明した。
“発電する窓”の実現へ、透明な有機太陽電池
山形大学は「プリンタブルエレクトロニクス2015」で、透明な有機薄膜太陽電池を展示した。“発電する窓”など、新しい市場を開拓できる可能性がある。
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