新たに開発した材料は、前駆体PbI2やσ-FAPbI3などの不純物を含まず、従来の一段浸漬法(One-step method)や二段浸漬法(Two-step method)で作成した材料に比べて、純度が高いことが分かった。
純度の高いペロブスカイト材料を開発できた理由として、研究チームは熱処理温度を上げた。130〜140℃で熱処理したところ、前駆体として純粋なFA1-xPbI3膜を得ることができた。これに対して、130℃以下であれば不純物を含むσ-FAPbI3膜に、140℃以上では不純物を含むα-FAPbI3膜になることが分かった。
今回開発に成功したペロブスカイト膜は、蛍光寿命が長いことも分かった。このことは、σ-FAPbI3膜やα-FAPbI3膜に比べて、ペロブスカイト材料中の電子再結合が少なく、電子寿命が長いことを示すものだという。さらに、今回開発した材料を太陽電池に用いることで、MA3PdI3を採用した場合に比べて、太陽光に対する感度が40nm広く、利用可能な波長領域が840nmまで伸びることが分かった。同一条件で作成したMAPdI3を用いた太陽電池に比べて、短絡電流が1.4mA/cm2高くなったという。
今回開発したペロブスカイト材料は、混合カチオンの比率や太陽電池パネルの製作に関わる条件などを最適化していないため、変換効率は13%にとどまっている。研究チームは、今回の成果をベースに、利用可能な波長領域のさらなる拡大や変換効率の向上を目指していく。これらの取り組みによって、太陽光発電システムでの発電コストを、火力発電(7円/kWh)並みに抑えることが可能とみている。
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