痩せすぎは出産リスクを高める可能性があると考えると、ダイエットとは、「種の存続を危機にさらす可能性のあるもの」以外の何物でもない気がします。それなのに、なぜ、現代人は「痩身=美しい」と認識するのか。今回は、読者の皆さまからいただいた10の仮説を検証したいと思います。
「世界を『数字』で回してみよう」現在のテーマは「ダイエット」。人類の“永遠のテーマ”ともいえるダイエットを、冷静に数字で読み解きます。⇒連載バックナンバーはこちらから
前回お知らせしましたが、この「ダイエット連載」に合わせて、わが家でも、ダイエットプロジェクトを進めております。今回、このプロジェクトで、顕著な成果を出したのは嫁さんでした。彼女は高校時代の体重まで戻すことに成功したのです。
私の方に向かって走ってくる時、軽やかなステップを踏んで、宙に浮いている嫁さんに、私は完全に見とれてしまいました ―― 結婚20年目の「嫁萌え(よめもえ)」でした。
編集者のMさん(女性)は、原稿受領の確認メールに、『嫁萌え、いいですね〜〜!ラブラブなご夫婦がうらやましくて、ため息が出ました』とのコメントを付けてこられましたし、原稿を読んだ長女は、「本当にママのことが好きなんだねえ」と、あきれた顔で言っていました。
普通の人であれば、これは「ラブラブ」「のろけ」「バカップル」などと片づけられ、特に、配偶者を賞賛することを美徳とはしないわが国において、私のような中年が、このような記述をすることは好まれないようです。
でも ―― みんな、勘違いをしている
私は、嫁さんを愛していることを言いたくて、この出来事を書いた訳ではないのです(もちろん、嫁さんは愛していますけど)。私がどうしても納得できないのは、「ダイエットに成功してスリムになった嫁さんに『萌えた』」という、その事実にあるのです。
私が、真に嫁さんを愛しているのであれば、24時間四六時中、嫁さんに『萌え』続けていなければ、筋が通らないじゃないですか。
まるで私が、「スリムでない嫁さん」ならば、愛することができないみたいじゃないですか(ここまで原稿を読んだ後輩は、「江端さん、あなたって、やっぱりバカなんじゃないですか?」と言いました)。
この『嫁萌え』は、私の気持ちでない「何か別のもの」が突き動かしているものであると考えないと、私は、自分の愛を信じることができないのです。ですから私は、どんな手段を用いても、この『嫁萌え』の発生原因を突き止める必要があったのです。
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