「iPhone 6s」と「iPhone 6s Plus」「iPad Pro」などを発表したばかりのApple。搭載されているプロセッサ「A9」「A9X」は、Samsung Electronicsの14nm FinFETあるいはTSMCの16nm FinFETを採用しているとみられている。
Appleは2015年9月9日(米国時間)、米国サンフランシスコで開催した新製品発表会において「iPhone 6s」と「iPhone 6s Plus」「iPad Pro」などを発表した。今回の発表会は、7000人を収容できる、これまでよりもかなり大きい会場「Bill Graham Civic Auditorium」で行われた。
新型iPhone、iPadでは、搭載されているプロセッサも、もちろん新しくなっている。iPad Proに搭載されているのは、第3世代64ビットプロセッサとなる「A9X」だ。AppleはA9Xについて詳細はあまり明らかにしなかったものの、A9Xは「A8X」に比べて2倍のメモリ帯域幅を実現しているという。A9Xではトランジスタアーキテクチャが刷新されていて、これはおそらくSamsung Electronicsの14nm FinFETあるいはTSMCの16nm FinFETを採用しているのではないかと見られている。
Tirias Researchの主席アナリストであるKevin Krewell氏によれば、「Appleは、A9XをIntelのプロセッサ『Haswell』と比べているのではないか」という。「Appleは、ARMベースのプロセッサ(=A9X)では性能が大幅に向上したことを示唆している。『MacBook Air』と同等あるいはそれ以上の性能だと言っている」(同氏)。
同氏は、「性能が上がった理由の1つは単にトランジスタの集積数が増加したからだろう。FinFETは、より高速でリーク電流も低い。コア数を増やしたか、または動作周波数を上げたと考えられる」と続けた。
iPhone 6s/iPhone 6s Plusに搭載されているのは「A9」である。前世代の「A8」に比べて演算性能は70%向上し、グラフィック性能は90%向上しているという。Krewell氏は、こちらも最新世代のFinFETが使われている可能性が高いとしている。コプロセッサも「M9」にアップグレードされた。
Strategy Analyticsの調査によれば、タブレット端末向けのプロセッサ市場の規模は縮小傾向にある。そのような中、Appleは今回、2時間もかけて新型iPadを紹介するツアーを行った。キーボード「Smart Keyboard」やスタイラスペン「Apple Pencil」などのアクセサリーを備えている他、Microsoftの「Office」アプリが動作するなど、Microsoftのタブレット端末「Surface」のライバルとなりそうな製品である。
Krewell氏は、「iPad Proは、『MacBook Pro』の置き換えとなるかもしれない。また、MacBook Airと同等価格帯となるだろう。ユーザーは(MacBook Pro、MacBook Air、iPad Proの間で)慎重な選択を強いられるかもしれない」と述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.