開口一番、
「そうですね。一言で言って、今回のコラム『つまらない』ですね」
と言われました。
後輩:「どこを痩せようと、順番がどうなろうが、そんなことは、どうだっていいことじゃないですか」
江端:「お前、それ、このコラムで解析した、典型的な『男性の発想』だぞ」
後輩:「ええ、まあ、分かって言っています。ただ、江端さんの読者の大半は、エンジニアで、そのエンジニアの大半は男性で、その男性のほとんどは、「部分痩せ」や「順番痩せ」なんぞに『全く興味がない』わけですよ」
江端:「う・・、それはそうかもしれない」
後輩:「ちゃんとマーケティングやターゲティングして、コラムを書いていますか? まったく、これだからエンジニアってやつは……」
という後輩は、入社以来、エンジニア以外のことはやったことがない、生粋のエンジニアです。
後輩:「あ、それと江端さん。江端さんのコラムに共通して言えることなのですが、今回のコラムでは特に強く感じたことがあります」
江端:「何?」
後輩:「江端さんのコラムには『愛がない』」
(こっちも、後編に続く)
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江端智一(えばた ともいち)
日本の大手総合電機メーカーの主任研究員。1991年に入社。「サンマとサバ」を2種類のセンサーだけで判別するという電子レンジの食品自動判別アルゴリズムの発明を皮切りに、エンジン制御からネットワーク監視、無線ネットワーク、屋内GPS、鉄道システムまで幅広い分野の研究開発に携わる。
意外な視点から繰り出される特許発明には定評が高く、特許権に関して強いこだわりを持つ。特に熾烈(しれつ)を極めた海外特許庁との戦いにおいて、審査官を交代させるまで戦い抜いて特許査定を奪取した話は、今なお伝説として「本人」が語り継いでいる。共同研究のために赴任した米国での2年間の生活では、会話の1割の単語だけを拾って残りの9割を推測し、相手の言っている内容を理解しないで会話を強行するという希少な能力を獲得し、凱旋帰国。
私生活においては、辛辣(しんらつ)な切り口で語られるエッセイをWebサイト「こぼれネット」で発表し続け、カルト的なファンから圧倒的な支持を得ている。また週末には、LANを敷設するために自宅の庭に穴を掘り、侵入検知センサーを設置し、24時間体制のホームセキュリティシステムを構築することを趣味としている。このシステムは現在も拡張を続けており、その完成形態は「本人」も知らない。
本連載の内容は、個人の意見および見解であり、所属する組織を代表したものではありません。
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