比して、ウエストの変化量を、実際のウエスト値に即して、計算してみますと、以下のようになります。
脂肪の構成比率から考えても、ウエストの方が、より脂肪が減っていっているはずなのですが、ウエストは、バスト(乳房)のような球形ではなく、円錐形 ―― 身もフタもない言い方をすれば「ドラム缶」のようなもの ―― になっています。
ウエストの長さも、半径に反比例してその変化量が大きくなるのですが、ところが、ウエストの半径は、乳房の半径の約2〜5倍もあることから、その変化量の変化が顕著に現われ難く、その変化率は緩やかな線形になってしまいます。
バストの測定装置が「ブラジャー」であるなら、ウエストの測定装置は、「スカート」になります。これは「表面積(二次元)」ではなく、「胴回り長(一次元)」として把握されることになります。そのため、ウエストの変化量は、バストほど顕著かつ劇的には「感じる」ことができない、と推認されます。
一方、「リバウンド」などにより体重が元に戻る時は、減る時とは逆に、バストの変化率は緩やかに推移しますので、バストが大きくなっていることを実感するのは、難しくなると考えられます(実際は、大きくなっています)。
比して、ウエストは、ほぼ線形に増加していくことになりますので、ウエストの方が、バストより先行してサイズが大きくなっているように「感じる」のです。
以上より、担当Mさんのテーゼ、
『女性は太る時には、ウエストから大きくなり、足、顔、そして最後にバストが大きくなります』
『しかし、ダイエットをすると胸から小さくなっていき、最後にウエストが細くなるのです』
に対する、私の検討結果は、以下の通りとなります。
―― 気のせいです(断言)。
人間の体は、現時点での体中の脂肪の比率に応じて、均等に痩せて、均等に太ります。「部分痩せ」はできませんし、「痩せる順番」も「太る順番」も存在しません。
今回の検討で、Mさんや嫁さんが、「痩せる順番」や「太る順番」があるかのように錯覚してしまうのは、男性にはない女性の特有の部位(乳房)の形状が原因であることが分かりました。
加えて、女性特有の測定ツール(日常生活における着衣(ブラジャーやスカート)や、手のひら)が、その錯覚を強化させていると考えられます。
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