ラピスセミコンダクタは2015年10月2日、酸性度(pH)や水分量、温度といった土壌環境を、土に直接埋め込んでリアルタイムに測定できるセンサーを開発したと発表した。
ロームグループのラピスセミコンダクタは2015年10月2日、酸性度(pH)や水分量、温度といった土壌環境をリアルタイムに測定できるセンサーを開発したと発表した。
同センサーは土の中に直接埋め込むことが可能となっている。無線通信と組み合わせることにより、土壌環境をリアルタイムに測定することができるため、農産物の生産性の向上や防災対策などのIoT向けソリューションに展開していくという。
一般的に行われるpH計測はガラス電極方式が主流となり、計測のたびに土壌を採取する必要がある。数メートル単位で大きく変化する土壌環境のリアルタイム計測や土壌情報を同時に計測することは困難であった。
また、従来開発されていた酸性度を計測するセンサーは、半導体回路内のセンサー表面が疎水性膜で構成され、センサーと土壌の水分の間にエアポケットが生じることにより、正確な計測結果を得られないという課題もあった。
同センサーは、pH計測にISFET(Ion Sensitive Field Effect Transistor)方式を採用し、各センサーを半導体基板上に1チップに混載し小型化を実現した*)。
*)Ion Sensitive Field Effect Transistor(イオン感応性電界効果トランジスタ):イオン感応膜を有するFETで、イオン活量によって発生する測定サンプルとイオン感応膜の表面電位を検出。シリコン半導体製造技術で作製できる。
センサー表面も親水性膜で構成し、電極部の構造を最適化することで、エアポケットの生成抑制に成功したという。計測したいエリアの土壌に簡単に埋め込むことができ、無線通信と組み合わせることで、広範囲でのリアルタイム計測が可能になったのだ。
同社は、同センサーを用いたモニタリングシステムの事例として、920MHz帯無線通信付きマイコンボード「Lazurite Sub-GHz」を用いたセンシングを行っている。そのモニタリングでは、「単3電池2本で約1年のリアルタイム計測が可能だった」(同社)としている。「CEATEC JAPAN 2015」では同システムのデモが行われる予定だという。
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