パネリストらは、現在の自動運転車では、事故は避けられないという見解を認めた。Happee氏は、部分的に自動走行を行う準自動走行システム(レベル2と呼ばれる)が、人間のドライバーに運転を引き継ぐ際の問題点に言及した。
こうした引き継ぎには、瞬時に反応しなくてはならない運転の世界で、“長い”時間がかかる可能性がある。産業技術総合研究所の橋本尚久氏は、「日本で行われた研究では、人間のドライバーは、自動運転に任せている時間が長いほど、引き継ぎの際に反応が鈍くなることが分かった」と述べた。
橋本氏は、自動運転車にも“デッドマン技術”が必要であると強調した。“デッドマン(dead man=死者)”技術は、名前こそ不吉ではあるが、ドライバーに万が一の事が起こった時に装置を非常停止するもので、電車などにも採用されている。つまり、自動運転技術とドライバーの両方が反応していない場合に、安全に停止するための技術が必要だということだ。ちなみに、自動運転車については、“安全な停止”というのも明確に定義されていない概念の1つである。
Merat氏は、フランスのラロシェルで行われた実験について説明し、1つのよい兆候を示した。自動運転のバスと路面電車の実験が、歩行者を怖がらせることなく終了したというもので、自動運転に懸念を抱いていた乗客の信用を、何とか得ることができたとしている。Merat氏は、自動運転は、乗用車よりも公共交通機関で、まずは成功するのではないかとみている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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