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小型で消費電力3割減、車載イーサネットスイッチ自動車の軽量化やBOMコスト節減に貢献する(1/2 ページ)

Broadcom(ブロードコム)は、車載向けイーサネット技術「BroadR-Reach」用スイッチICの新製品「BCM8953xファミリ」を発表した。従来製品に比べてパッケージサイズを半分とし、電力消費を最大30%も削減した。

» 2015年10月30日 10時30分 公開
[馬本隆綱EE Times Japan]

車載向けイーサネット技術「BroadR-Reach」用

 Broadcom(ブロードコム)は2015年10月29日、東京都内で記者説明会を開催し、車載向けイーサネット技術「BroadR-Reach」用スイッチICの新製品「BCM8953xファミリ」を発表した。従来製品に比べてパッケージサイズを半分とし、電力消費を最大30%も削減した。

 BCM8953xファミリは、車載グレードの28nm技術を用いて設計した。現行製品に比べて電力消費を最大30%削減するなど、電力効率に優れたスイッチICである。車載システムに特化したこともあり、これまでのIT機器向けでは対応していないような複数の電力モード技術も新たに追加している。また、これまで外付けしていたPHY用のローパスフィルタを内蔵しつつ、パッケージサイズを半分にするなど、高密度実装の要求にも対応できるよう、大幅に小型化した。

BCM8953xファミリの外観イメージと主な特長 出典:ブロードコム

 ネットワークを構築するためのBOMコストも削減することができる。外付けしていたローパスフィルタが不要になったことや、シールド無しのツイストペアケーブルを利用することが可能になるからだ。この他、不正侵入防止のための標準認証プロトコルに対応するなど、セキュリティ機能の向上も図った。もちろん、車載用ICの信頼性試験「AEC-Q100」やEMC(電磁両立性)試験にも適合している。

2021年、車載イーサネットのノード数は2億超に

 ブロードコムのインフラストラクチャ&ネットワーキンググループでオートモーティブ/PHY製品担当のシニアディレクタを務めるDr. Ali Abaye氏は、「調査会社によれば、車載ネットワーク規格として搭載されている『FlexRay』や『MOST』の需要はこれから横ばい、もしくは下降していくだろう。車載イーサネットはこれらの領域をカバーしつつ、新たな用途を拡大していく。2021年には車載イーサネットのノード数が2億を超えると予測されている」と話す。

左はブロードコムのインフラストラクチャ&ネットワーキンググループでオートモーティブ/PHY製品担当のシニアディレクタを務めるDr. Ali Abaye氏。右はイーサネット、MOST、FlexRayの普及予測。2017年以降イーサネットのノード数が急速に拡大する見通しだ 出典:ブロードコム

 Abaye氏は、BroadR-Reachの強みについて、「シンプルかつ効果的な技術である」と述べた。前述のようにネットワークの接続線としてシールド無しのツイストペアケーブルを1本だけ使用する。伝送速度は最大100Mビット/秒である。通信レイヤーの物理層(PHY)は専用チップを用いるが、第2層以上は既存の標準的なイーサネット(IEEE802.3)のリソースを利用する。「これまでシールドLVDSケーブルを採用していた車載ネットワークシステムを、BroadR-Reachに置き換えた場合に、接続コストは最大で80%低減することができる。配線ケーブルの重さは最大30%軽減することが可能となる」と語る。

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