スイスのu-blox(ユーブロックス)は2015年12月2日、2016年度における日本市場の事業戦略を発表した。IoT/M2M市場の中で車載通信と産業機器に注力していくという。
スイスのu-blox(ユーブロックス)は2015年12月、2016年度における国内の事業戦略を発表した。今まで実績を挙げている無線通信、測位用IC/モジュールを生かし、急速に拡大するIoT(モノのインターネット)/M2M(Machine to Machine)市場で“車載通信機器”と”産業機器”に注力していくという。
u-bloxのCEO兼マーケティング・営業部門最高責任者であるThomas Seiler氏とユーブロックスジャパンでカントリー・マネジャーを務める仲哲周氏が発表会を開催した。
Thomas氏は、今回国内事業戦略を発表する経緯について、「IoTが非常に重要なテーマになってきており、潜在的な顧客が増えてくる。日本は自動車を中心に非常にポテンシャルがある市場。私たちが無線通信や測位分野でIoTに必要な技術を実現していることを、業界全体に対して明確に伝えたかった」と語る。
自動車向けには、V2X(車車間通信および路車間通信)におけるGNSS(衛星測位システム)やセルラー通信、Wi-Fi、Bluetooth通信などにかかわる車載用製品を提供。自動運転に対応するGNSS/V2Vモジュールも提供していくという。また、日本で利用可能なQZSS(準天頂衛星システム)を含む製品の開発を推進するとしている。
産業機器向けには、全ての無線通信とGNSS向けに、チップとモジュールの両方を提供する。スマートメーターやスマートインダストリー、ヘルスケア用アプリケーション市場向けの事業を強化するために、国内での技術サポートや無線通信技術に関するソフトウェアベンダーとの協業を強化していくという。事実、同社は2014年8月に、産業機器向けWi-Fi用ベースバンドIPを開発するギリシャのAntcorを買収している*)。
*)関連記事:u-bloxがWi-Fiの IPベンダーを買収、M2M通信ソリューションを強化
Thomas氏は、IoT市場の拡大について「PCやスマートフォンの売り上げを見るよりも、通信のベースとなるマイコンの売り上げを見ることで、IoT市場の潜在的可能性を探ることができる。マイコンの売り上げは、PCとスマートフォンの売り上げよりはるかに大きい。従って、今後マイコンが必須になるセンサーやIoT市場の拡大が予想される(下記の図を参照)。当社は、測位、セルラー接続、近距離無線通信を合わせて提供することで、IoT市場が求める要求に応えていく」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.