セッション28のメインテーマは「イメージャ/MEMS/医療/ディスプレイ」、サブテーマは「ポイント・オブ・ケア向けのバイオセンサー」である。「ポイント・オブ・ケア」とは、病院や医院、保健所などの医療関係機関ではなく、家庭やオフィス、事故現場、災害現場などのその場所で短時間に生体の状態を把握し、適切な措置を施すことを意味する。ポイント・オブ・ケアのシステムには、持ち運びが可能であること、電池(バッテリー)で動作すること、などの要件を満足することが求められる。
University of MacauとUniversity of Pavia、University of Glasgow、Instituto Superior Tecnicoの共同研究グループは、ハンドヘルド型の核磁気共鳴(NMR)分析システムを発表する(講演番号28.1)。垂直ホールセンサーや温度制御コイルなどを駆使した。
University of Ulmは、バッテリーで動作する電子スピン共鳴(ESR)分光システムに向けたCMOSチップを報告する(講演番号28.2)。共鳴周波数は14GHz。シリコンダイの製造技術は0.13μmのCMOSである。
imecとSamsung Electronicsの共同開発チームは、バッテリーで動作する、生体マルチセンシング・データ収集システムを発表する(講演番号28.4)。心電図(ECG)と生体インピーダンス(Bio-Z)、皮膚電気反応(GSR)、容積脈波(PPG)の信号を同時に収集できる。なお、Samsungが2015年12月29日に開発をリリース発表した「Bio-Processor」は、このデータ収集システムの中核となるプロセッサだとみられる。
この他、シャープと京都大学、広島大学の共同研究グループが、LC発振器アレイによって生体分子の2次元形状を検出するセンサーを報告する(講演番号28.3)。発振器の周波数は120GHzと60GHzである。
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