「低インスリンダイエット」とは、食物カロリーではなく、インスリンの分泌量が少なくてすむ食物を選んで食べる、というダイエット方法です。
インスリンとは、血液中の糖分をエネルギーに変換することで、その糖分を一定に保つ働きをもつホルモンの一種です。血糖中の糖分(血中糖度)を一定に保たないと、血管が詰って血液が流れなくなるからです。
人間の体は、インスリンが適正に分泌されないと、エラいことになります。最悪の場合は失明、あるいは壊疽(えそ)した手足の切断、脳内溢血、心臓停止に至ることもあります(糖尿病の代表的な疾患)。
食事を摂ると、血中糖度が上がりますので、当然、インスリンが大量に分泌されます。それは結構なことなのですが、インスリンが大量に分泌されると、糖をエネルギーに変える勢いが余って、エネルギーとして使われていない糖分までをも、早々に脂肪(ぜい肉)に変えてしまうのです。
「そんな、急いでぜい肉にするなぁ!」 って、インスリンに言いたいですよね。
それならば、「インスリンが、一気に大量に分泌されない食べ物を選んで食べればいいじゃない?」と考えた人がいた訳です*)。これが「低インスリンダイエット」です。
*)というか、脂肪分になるほど食べ過ぎなければいいことなのですが、それは今は「言わない方向」で。
で、食べ物一つ一つで、そういうことをちゃんと調べた人(デヴィッド J. ジェンキンズ博士ら)がいたのです。それが、グリセミック・インデックス(Glycemic Index)、いわゆる「GI値」と呼ばれているものです。
GI値とは、ブドウ糖を摂取した時の血糖値上昇率を100として、相対的に表されています。このGI値が低い食物を摂取した場合、インスリンの分泌速度は、ゆっくりになります。
インスリンが「ダラダラ」分泌されてくれれば、確かにうれしいです。なぜなら、インスリンが、糖分を脂肪として摂り込む前に、仕事とか勉強とか運動とかで、エネルギーとして使っちゃえばいいんですから。
これまで、さまざまなダイエット本を、冷笑し、嘲笑し、バカにしてきたこの私も、「これは、結構イケるかもしれないぞ」と、結構興奮しました ―― その時は。
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