私が「あれっ?」と、違和感を覚えたのは、そのGI値の表を見た時です。以下のグラフは、私がGI表から2次元の分布表に展開したものです。
カロリーの高い食物はGI値が高く、カロリーの低い食物はGI値が低いのです。例外は、「ピーナッツ」「マヨネーズ」と「ベークドポテト」くらいのものです。
「ドーナツ」や「フライドポテト」が、「もやし」や「ひじき」より太りやすいなんてこと、論じるまでもなく、日本人の常識ですよね。
これらのグラフを見ながら、私なりに、この「低インスリンダイエット」をまとめると、
『パンとイモは食うな。御飯、麺類は押え目で。モヤシ、納豆、ヒジキを中心に』
――って、「それ、普通のダイエットやんか!」って、突っ込んでいいですか?
編集注)どうぞどうぞ
それに、この「低インスリンダイエット」、理屈としてもモヤモヤしているところもあるのです。
「低インスリンダイエット」の発想は、恐らく糖尿病の方の対策として考案されたものだと思います。
糖尿病患者は、インスリン分泌量が十分な量に達することができませんので、もし、高いGI値の食料を摂取したとしても、エネルギーにも脂肪にも変換することができず、糖のまま血液に残ります*)。すると血中濃度が上がり、体が危険な状態になります。ですから、糖尿病の方の中には、食事の前に、自分で、インスリン注射を行う方がいるのです。
*)加えて、糖をエネルギーにも脂肪にも変換できないので、体力も十分に出せず、痩せてしまいます。
ですから、GI値の低い食事は、糖尿病患者の方が「エネルギーを効率よく取り込み」「できる限り脂肪として獲得する」ためのものとも考えられます。
そう考えると、「低インスリンダイエット」は、逆に、効率よく太るための戦略という解釈も可能です。
対立する2つの仮説が出てきた時は、その検証は具体例(データ)で行うしかないのですが ―― 探してみたのですが、やっぱりないのですよ、こういうデータ。
まあ、仮にデータがあったとしても、私ならこう反証するでしょう。
「低インスリンダイエットは、低カロリーダイエットと同じものである。故に、このデータが、直ちに、低インスリンダイエットの効果であると、認めることはできない」 ―― と。
そんでもって、
「もし、低インスリンダイエットの効果を定量的に示したいのであれば、高カロリーかつ低GI値の食材である、ピーナッツとマヨネーズだけの食事で過ごした、1カ月程度の体重変動の実験結果を持ってこい」 ―― と。
まあ、実際にこんな実験をやったら、人権侵害になるだろうし、動物でやっても動物虐待の罪になるでしょうけども(動物愛護法第44条2項)。
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