Keysight Technologies(キーサイト・テクノロジー)は2016年4月5日、ナノアンペアレベルの微小な電流波形を取得できる計測器「デバイス電流波形アナライザ CX3300シリーズ」を発表した。
IoT(モノのインターネット)化が進む中で、電子機器/電子デバイス開発現場では、より小さな電流を計測する必要性が増している。
例えば、電池1つで何年も駆動しなければならないワイヤレスセンサー端末。温度や照度などをセンサーで検出し、マイコンでデータ処理し、無線でホストシステムに伝える。こうした動作で消費する電力を抑えることも必要だが、センシング/処理/通信を行わないいわゆる“待機/スタンバイ時”の消費電力を抑えなければならない。なぜなら、大半の時間は、待機状態で過ごすため、この待機時消費電力の大きさが駆動時間を大きく左右するからだ。
現状、待機時消費電流は、1mAを下回り、マイクロアンペア単位が当たり前になりつつある。いわば、ワイヤレスセンサー端末やウェアラブル機器など電池駆動端末は、数マイクロアンペア単位で、消費電流を削減する必要が生じているのだ。
微小な電流を計測する必要のあるニーズは、消費電流に限ったことではない。微小な電流の変化で検出するセンサーの評価などでも欠かせない。もちろんセンサーやデバイス開発における材料の評価/試験でも微小電流の計測は不可欠だ。こうした用途では、マイクロアンペア単位でも足りず、ナノアンペア/ピコアンペア級の測定が求められる。
こうした1mAを下回る微小電流の計測は現状、マルチメーターを使用した数値計測は可能だが、オシロスコープ/電流プローブを用いた波形の取得は困難だ。ノイズが混じり、おおよその波形は取得できるものの、詳細かつ正確な値はつかめない。特にマイクロアンペア単位の待機電流はフロアノイズに埋もれてしまい、到底、波形など見えない――。
今回、Keysightが「新しいカテゴリーの計測器」という位置付けで製品化を発表したデバイス電流波形アナライザ CX3300シリーズは、こうしたこれまで見ることがほぼ不可能だった微小電流の波形を表示できる計測器だ。
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