ドイツで開催中の「PCIM Europe」は、パワーエレクトロニクスに焦点を当てた、30年以上の歴史を持つ展示会だ。特にここ5年ほどで出展社数、来場者数を伸ばしていて、日本企業の出展もじわじわと増えつつある。
現在、ドイツ・ニュルンベルクで開催中の「PCIM(Power Conversion and Intelligent Motion) Europe 2016」(2016年5月10〜12日)は、パワーエレクトロニクス分野では世界最大規模の展示会だ。欧州に拠点を置くパワーエレクトロニクス系のメーカーの中には、ドイツ・ミュンヘンで2年に一度開催される電子部品関連の大型展示会「electronica」に次いで力を入れている企業も少なくない。経営層やマネジメントクラスの来場者が多いelectronicaに比べて、開発設計に携わるなど、現場により近いエンジニアの来場者が多いこともPCIM Europeの特徴だ。
PCIM Europeは30年以上の歴史を持つ。小規模のカンファレンスや商談、ミーティングから始まった同展示会は、当初はミュンヘンで行われていたが、場所をニュルンベルクに移し、しばらくはホテルを会場として利用していたという。展示会の規模が大きくなるにつれて。イベント用施設「Messe」を利用するようになり、今ではMesseの3ホールを使うまでになっている。
2016年の出展社数は436社。来場者数は9000〜1万人を見込んでいる。PCIM Europeを主催するMesago PCIMでプレジデントを務めるPetra Haarburger氏によると、特にここ5年間で展示会の規模が大きく成長しているという。同氏によれば、5年前の来場者数は6300人だった。「主な成長要因となっているのが再生エネルギーやエネルギー管理の分野だ。消費電力や効率に対する関心はこれまで以上に高まっていて、それとともに展示会の規模も成長している」(同氏)。Haarburger氏は「パワーエレクトロニクスはニッチな市場ではある」としながらも、省エネルギー化や効率の向上で鍵を握るのはパワーエレクトロニクスだと強調、PCIM Europeが30年以上続く、息の長い展示会である理由を示唆した。
さらに、Industrie 4.0も追い風となっている。Mesago PCIMでバイスプレジデントを務めるLisette Hausser氏は、ここ数年のPCIM EuropeのトレンドとしてIndustrie 4.0やIoT(モノのインターネット)を意識した展示が増えているという。Haarburger氏は「PCIMは、“トレンドを作る”のではなく、“トレンドに沿う”展示会」と強調する。Industrie 4.0のようなトレンドを把握してそれを展示会に反映させるため、顧問委員会(advisory board)を置いて、アドバイスを得たり、出展内容やカンファレンス内容の審査を行ったりしているという。顧問委員会は、大学教授やメーカーの社員など約70人のメンバーで構成される。日本からは三菱電機や日立製作所の社員がメンバーになっている。
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