TDKは、高感度磁気抵抗(MR)素子による心臓の磁場分布の測定に成功したと発表した。超伝導量子干渉素子(SQUID)センサーを用いた測定よりも、より手軽な心臓疾患の診断が可能になるという。
TDKは2016年6月7日、東京医科歯科大学大学院と共同で、高感度磁気抵抗(MR)素子による心臓の磁場分布の測定に成功したと発表した。
生体磁界のような微弱な磁界の測定には、超伝導量子干渉素子(SQUID)センサーが用いられている。ただ、SQUIDセンサーは液体ヘリウムで冷却する必要があるので、同センサーを用いた測定装置は大型になり、導入にも数億円のコストが掛かる。年間のランニングコストも1000万円以上だ。そのため、一部の研究機関でのみ活用されている。
今回、同社はHDD用の磁気ヘッドで強みを持つMR素子の技術を活用し、磁気センサーを高感度化したことで、「世界初」(同社)という常温MRセンサーアレイによる心磁界分布の可視化に成功した。
常温センサーは複数個並列して測定を行うことが容易なため、高密度での測定ができる(上記写真での測定は、5×6=30個のMR素子を用いている)。これにより、心筋活動の開始部位の特定や、活動部位の広がりといった心臓全体の動きが分かるという。
また、持ち運びもできるため、より手軽な心臓疾患の診断が可能だ。将来的には、リハビリステーションやトレーニング施設での導入も期待できるとした。
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