TIは、幅広い製品ポートフォリオや半導体プロセス/パッケージの技術革新などにより、車載半導体事業の拡大を図る。
Texas Instruments(TI)は2016年6月16日、車載半導体事業に関する戦略について、東京都内で記者説明会を行った。幅広い製品群とサブシステムのレファレンスデザインなどを提供することで、顧客における設計期間の短縮に貢献していく方針を示した。
TIは、車載向けに電源ICやアナログIC、マイクロコントローラー、DLPディスプレイなどさまざまな半導体/電子部品を供給している。その数は、車載用として認定された製品のみで約2000点に達しているという。「ADAS(先進運転支援システム)」「パッシブ型安全運転支援システム」「HV/EV/パワートレイン」「ボディー/ライティング」「インフォテインメント・クラスタ」と、5つの主な応用分野に対し、同社は先端の半導体プロセス技術やパッケージ技術などの技術革新を進めることで、市場のニーズに応えていく。
TIでオートモーティブシステムズのゼネラルマネージャを務めるHeinz-Peter Beckemeyer氏は、「TIの製品構成は、裾野が広く奥行きも深い。ほとんどの車載システムに対応できるソリューションを持ち合わせている。新製品や新しい領域に対して継続的な投資も行い、イノベーションに取り組んできた。現在の体制でも、競合他社と十分に戦える」と話す。競合他社が企業買収や事業統合を進める中で、独自路線を貫く方針を示した。
車載半導体事業において、これから注力していく分野として、「ADAS(先進運転支援システム)」「HV/EV/パワートレイン」「ボディー/ライティング」「インフォテインメント・クラスタ」と、4つのセグメントを挙げた。同社の事業拡大をけん引していくのは、新製品をはじめとする幅広い製品群と、サブシステムをベースとしたレファレンスデザインの提供である。
用意しているレファレンスデザイン数は、車載向けだけでも280件を超える。一例として、トランクを開けるシステムや超音波センサーを応用した駐車支援システム、車載カメラシステムなどを挙げた。EMI対策のガイダンスなども用意した。この他、回路図、ブロック図、テストデータ、部品表などがウェブ上に公開されている。「サブシステムのレファレンスデザインはそのまま利用することもできるし、一部カスタマイズすることも可能だ。これを活用すれば、機器メーカーは開発期間を短縮し、製品の市場投入を早めることが可能となる」(Beckemeyer氏)という。
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