u-blox(ユーブロックス)は、世界最小クラスの車載用推航法GNSS(衛星測位システム)レシーバー「EVA-M8E」について技術説明会を行った。スピードパルスなどの情報がなくても高い測位精度を実現しつつ、機能モジュールの小型、低コスト化が可能となる。
u-blox(ユーブロックス)は2016年7月13日、世界最小クラスの車載用推航法GNSS(衛星測位システム)レシーバー「EVA-M8E」について、技術説明会を開催した。スピードパルスなどの情報がなくても高い測位精度を実現することができ、機能モジュールの小型、低コスト化を可能とする。
車載用GNSSシステムは、常に高い測位精度が要求される。ところが、機器の小型、薄型化によってアンテナの形状も小さくなり、受信できる信号レベルが小さくなってきた。アンテナの取り付け位置も測位精度に影響する。従来は外部に取り付けられていたが、最近ではダッシュボードの下に取り付けられることもあるという。さらに、高層ビルの周辺やトンネル内などでは、衛星からの信号が遮られたり、マルチパスの影響を受けたりするため、測位精度が著しく低下するなどの課題がある。
EVA-M8Eは、こうした状況下でも、安定した測位性能が得られるようにした。ジャイロセンサーや加速度センサーなど6軸モーションセンサーを組み合わせて用いるUDR(アンテザード推測航法)モジュールである。このため、車両から出力されるスピードパルスなどのデータにアクセスしなくても、モーションセンサーの信号を活用して高い精度で測位することができる。さらに同社は、車両に取り付けたモーションセンサーの状態を検知し、内部のコントローラーで自動キャリブレーションする機能を内蔵することで、トラッキング精度を高めているという。
u-bloxでプロダクトマーケティングマネジャーを務めるFlorian Bousquet氏は、「ダッシュボード下にEVA-M8Eモジュールのアンテナを取り付けた事例でも、GNSSのみの測位に比べて、高いナビゲーション精度を達成した。ビルの谷間で衛星からの信号が弱い時や、トンネル内で信号が途絶えた場合でも、十分な精度で測位結果を出力できることを確認している」と話す。技術説明会では、マルチパスの影響が出やすい新宿西口付近や、東京・目黒の大橋ジャンクション(JCT)付近においても、高い精度で測位できている事例を紹介した。
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