東陽テクニカは2016年7月20日、慶応義塾大学理工学部中央試験所の産学連携棟内に、微小な領域を観察および分析するための施設「ナノイメージングセンター」を開設した。産学連携を図ることでイメージング技術を強化し、学術と産業の両方に貢献することを目指す。
東陽テクニカは2016年7月20日、「ナノイメージングセンター」の開所式を慶応義塾大学理工学部キャンパス内で開催し、同センターの見学会を顧客および報道機関向けに行った。
微小な領域を拡大、観察、分析するイメージング技術は、さまざまな分野の基礎/応用研究や学術研究において、現象の解明や検証に欠かせない。素早く高精度にイメージングすることは、正しい方向に研究を進める上で極めて重要だ。そのため、研究者にとって、最先端のイメージングツール(電子顕微鏡やX線分析装置、硬度計など)を使用できるかどうかが、“勝敗を分ける”と言っても過言ではない。
こうした背景を踏まえて設立されたのがナノイメージングセンターだ。産学連携棟内の4つの分析室に、欧米の最先端のイメージングツールを8台設置した。そのうち7台は最新機種になる。これらの装置を学生や教授、企業に開放することで、さまざまな分野の研究開発を支援することを狙う。東陽テクニカによると、「8台の装置の価値は約5億円相当になる」という。イメージング技術に特化した施設として、これほどの装置をそろえているのは、日本ではトップクラスだとしている。
東陽テクニカは、欧米の最新のイメージングツールを導入し、装置を購入する顧客向けに数多くのデモンストレーションを行ってきた。一方の慶応義塾大学理工学部中央試験所は1960年に設立されて以来、基礎/応用研究に最先端のイメージングツールを使用してきた。それに伴い、分析用サンプルを的確に作成する技術も蓄積してきた。ナノイメージングセンターでは、東陽テクニカが最先端のイメージングツールを提供し、慶応義塾大学理工学部中央試験所は、研究場所と、試料加工/作成技術を提供する。
東陽テクニカの社長を務める五味勝氏は開所式で、「今回提供するイメージング技術は、“装置を使えば誰でも簡単に測定できる”というものではない。イメージングには、目的に応じた試料を素早く的確に作成するという、“匠の技”にも似た知識と経験が要求される。慶応義塾大学が培ってきた加工技術と、当社が提供する世界各国の最先端イメージングツールを融合することで、多くの研究者と技術者に、正確かつ新しい情報を提供できるようになる」と語った。
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