LPWAとWi-Fi HaLow、完全に競合する可能性も:IoT向け通信ネットワークの台頭で(3/3 ページ)
Wi-Fi Allianceは「2016 Tokyo Wi-Fi Summit」に併せて記者説明会を開催し、802.11acをベースに相互互換性を確認する認証プログラム「Wi-Fi CERTIFIED ac」の新機能「Wave 2」を紹介した。Wave 2は、次の4つの技術によって、従来の「Wave 1」に比べて約3倍(理論値)のスループットを実現できるとする。
- マルチユーザーMIMO(MU-MIMO):複数のデバイスに同時にデータを送信可能(従来は、まずAに送信、次にB、次にC、といったように順に送信)
- 160MHzの帯域幅:従来は80MHzだった帯域幅を最大160MHzに拡張
- 4つの空間ストリーム:空間ストリームのサポート数を、従来の3つから4つに増加
- 5GHz帯でのサポートを拡大:5GHz帯で利用できるチャンネルを増加し、干渉と混雑状態を緩和
Wave 2の認定プログラムは2016年6月29日(米国時間)から正式に開始しているが、Wave 2に対応した製品は、認定プログラムがドラフト段階だった時から市場に投入されている。例えばSamsung Electronicsの「Galaxy S7」はWave 2に対応している。
Wave 2に対応し、相互運用性の認定向けテストベッドに選定されたチップセットやレファレンス設計は、以下の通り。
- Broadcom「BCM94709R4366AC」
- Marvell「Avastar A88W8964」
- MediaTek「MT7615 APリファレンスデザイン」「MT6632 STAリファレンスデザイン」
- Qualcomm「IPQ8065 802.11ac 4ストリームデュアルバンド」「デュアルコンカレントルーター」
- Quantenna Communications「QSR1000 4x4 802.11ac Wave 2チップセットファミリー」
Wi-Fi Allianceのマーケティング担当バイスプレジデントであるKevin Robinson氏
Wi-Fi Allianceのマーケティング担当バイスプレジデントと努めるKevin Robinson氏は、Wi-Fi市場における2つのトレンドとして「コネクテッドデバイスの増加」と、高精細な動画など容量が大きい「リッチコンテンツの増加」を挙げた。同氏は、Wave 2によって、“大容量かつ多様なコンテンツのスムーズな伝送”というユーザーの強いニーズに応えられるとし、Wave 2の認定プログラムが正式に始まったことで、Wi-Fi Allianceの最も重要な仕事である「Wi-Fiデバイス間の相互運用性の確保」が、より強化されると述べた。
なお、LTE-UやLAA、MulteFireについて、記者からは「Wi-Fi Allianceは、これらの規格に反対する立場にあるのか」という質問があったが、Robinson氏は明確には回答せず、「Wi-Fi Allianceの活動の焦点は、ユーザーがより使いやすいWi-Fi環境を整えることにある」と述べるにとどまった。ただ、Wi-Fi Allianceは2015年に、LTE-UとLAAについてより多くの情報を開示するよう、FCC(米国連邦通信委員会)に要求している。
- ソフトバンクがLTEモジュールを発表 IoT加速へ
ソフトバンクは、2016年7月21〜22日にザ・プリンス パークタワー東京で開催した「SoftBank World 2016」で、「IT・IoTが変えていく超産業化と暮らし」と題して講演を行った。
- 「LTE-UとWi-Fiは共存可能」、Qualcommが実験
アンライセンス周波数帯を活用したLTE通信、いわゆるLTE-Uへの取り組みが進められている。だが、Wi-Fi Alliance側の懸念は増すばかりのようだ。そのような中、QualcommがLTE-UとWi-Fiが共存可能なことを実証実験で示した。
- “第4の夜明け”迎えたWi-Fi、サービスが課題に
無線LANビジネス推進連絡会が2016年1月に開催した技術セミナーでは、Wi-Fiの市場が活性化し、用途やサービスも拡大の一途をたどることが強調された。その一方で、GoogleやFacebookなど、キャリア以外の企業の参入は、Wi-Fi市場に新たなサービスを生むとともに、懸念事項ももたらす可能性もあるようだ。
- 標準化進むセルラーIoT、モジュールは低価格に
IoT(モノのインターネット)機器をモバイルネットワークに接続する「セルラーIoT」の標準化が進んでいる。エリクソン・ジャパンは2016年6月16日に横浜市で記者説明会を開催し、セルラーIoTの技術解説やデモを行った。
- 最初の照準は東京五輪、5G開発を加速する日本勢
本連載では、5G(第5世代移動通信)の開発が進んでいる5つの国/地域に焦点を当て、その最前線をノキアの視点でお届けする。第2回となる今回は日本を取り上げる。2020年の東京オリンピックを控え、5Gの商用化に向けた議論が加速してきている。
- 5Gでは周波数帯で世界的な協調が必要に
Ericssonは、モバイル通信市場を包括的に分析したレポート「エリクソン・モビリティ・レポート」を年に2回発行している。同社の日本法人であるエリクソン・ジャパンは2016年7月5日、同レポートの最新版となる2016年6月版の内容を説明する記者発表会を行った。モバイル通信市場の最新動向に加え、3GPPによる5G(第5世代)標準化活動のアップデートについても説明した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.