なお、売上総利益率は、Non-GAAPベースでは44.3%で、前四半期比で2.3ポイント増、前年同期比では変わらない。柴田氏は「売上高の減少や為替の変動などマイナス要因はあるものの、構造改革が功を奏して一定の水準を維持できている」と述べた。営業利益率は、同じくNon-GAAPベースで13.7%。前四半期比で3.1ポイント増、前年同期比で4.1ポイント減となっている。前年同期比での減少について同氏は「成長を加速すべく研究開発費を増加したことが主な要因。特に、成長市場である自動車のADAS(先進運転支援システム)向け技術などに関する開発費を強化する」と説明している。
2016年12月期第2四半期(7〜9月期)の業績見通しについては、引き続き円高と熊本地震の影響が大きいとみていて、減収減益を見込む。具体的には、半導体売上高が1450億円と、第1四半期比1.7%減。売上総利益率は38.9%で同3.9ポイント減。営業利益率は5.0%で同7.2ポイント減になると予測している。
柴田氏は第2四半期以降の自動車および産業機器の市況について、「不透明な部分や不安要素がないわけではないが、今見えている景色としては比較的堅調」と述べている。「不安要素」の中身については、「米国や中国での自動車の販売台数がどうなるのか、という懸念点がある。また、FAを中心とする産業向け製品に関しては、恐らくエンドマーケットとしては中国におけるスマートフォンの製造で使われていると思われるので、中国のスマートフォン市場が失速してくると、影響を受けるのではないか」と話した。
なおルネサスは、後工程を担う熊本錦工場(熊本県錦町)について、2015年7月に「1年後をメドに存廃を検討する」としていたが、主に自動車向け半導体の需要が増加したことから、一度検討を中止して、当面の間は継続して活用していく方針を固めた。同工場の稼働率は公開していないが、柴田氏は「自動車分野で高品質の半導体製品の需要が強く、高い稼働率を維持していた。特に自動車向けでは品質の点から製造を外部に委託しにくく、パッケージングと検査の後工程をなるべく自社の工場で行いたいという気持ちが強かった」と述べる。
ただし、他の工場も含め、後工程工場の運営を見直すという方針は変わらない。その際は、外部委託も含めて検討を行うとしている。
なお、前工程工場の高崎工場(群馬県高崎市)、滋賀工場(大津市)、山口工場(山口県宇部市)の3つについても再編する検討が始められたと、2016年5月に報道されているが、これについて柴田氏は「現時点で特にアップデートできる情報はない」としている。
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