今回、私は「人身事故に対する怒りを裁判にできないのか」という疑問の下に、裁判シミュレーションを行ってみました。そこから見えてきたのは、日本の鉄道会社の“律義さ”でした。後半では、人身事故の元凶ともいえる「鉄道への飛び込み」以外の自殺について、そのコストを再検討したいと思います。
「世界を『数字』で回してみよう」現在のテーマは「人身事故」。日常的に電車を使っている人なら、1度は怒りを覚えたことがある……というのが本当のところではないでしょうか。今回のシリーズでは、このテーマに思い切って踏み込み、「人身事故」を冷静に分析します。⇒連載バックナンバーはこちらから
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前回の最後のページで、
後輩:「なんというか、文章全体が『不快』で読んでいられません」
と言われたことを、ひと月の間、ずっと考え続けてきました(根に持っている訳ではありません)。
私のコラムを不快と感じる人が、多くはないようですが、一定数いるということは知っています(特に結婚、出産、LGBTに関するコラムで見られました)。
私は、これまで、読者の「誤読」「誤解」の類(たぐい)だろうと思って放置してきたのですが、ちょうど良い機会なので、ちゃんと考えてみることにしました。
女性と男性の大きな違いの1つとして、誰かに何かを相談する時に、期待するモノが違うという話を聞いたことがあります。それは、女性は一般的に「同意する、共感する、心に寄り添う」ことを求めるのに対し、男性は「問題点を分析し、課題を整理し、解決策を提案する」傾向があるのだそうです。
私は女性ではないので、これが女性と男性の性差かどうかは、正直よく分からないのですが、少なくとも、エンジニアが「問題点を分析し、課題を整理し、解決策を提案する」というパターンの行動を取りやすいことは、間違いありません。
「エンジニアって、理屈っぽくて、いろいろ知識をひけらかして、偉そうで、頭良さそうに振る舞うから嫌い」という話は、どこでも良く聞きます。これは、現象としてはおおむね事実なのですが、多くの人は、1つ大きく勘違いしているように思うのです。
―― エンジニアは、原則「頭が悪い」のです。
何かをお願いする時、エンジニアでない多くの人 ―― 特に、私の経験では、テクニカルライティングの履修を必要としなかった、いわゆる文系の人たちの多くが、何かを説明する時に「状況だけ」を述べることが多いように思うのは事実です。こんな感じで。
「AさんがBをして、CさんがDをした結果、EさんがFという状況になっている。ところが……。しかし、その一方、Gさんに因れば、……ということになっているんだ」
―― で、ここで、唐突に話が終了するのです。
私たちエンジニアは、こういう、状況の説明のフレーズだけから、コンテクストを抽出することはできません。なぜなら、エンジニアは、そういう風には「作られていない」からです。
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