NECエナジーデバイスは、業務用ドローン向けに、高出力で安全性に優れたリチウムイオン二次電池のプロトタイプを開発した。現行のリチウムポリマー二次電池に比べて長寿命であり、飛行可能な回数を2倍以上に増やすことができる。
NECエナジーデバイスは2016年9月、業務用ドローン向けに、高出力で安全性に優れたリチウムイオン二次電池のプロトタイプを開発、実用化にめどを付けたと発表した。現行のリチウムポリマー二次電池に比べて、飛行可能な回数は2倍以上になるという。低温環境での飛行も可能とした。
今回発表したリチウムイオン二次電池には、新たに開発した比容量の大きな正極材を採用している。これにより、高出力時の重量エネルギー密度を同社従来製品に比べ約33%向上させた。このことは、同じ重量だとドローンの飛行時間や飛行距離を約33%延長できることになる。同じエネルギー量であれば、電池のサイズや重量を約25%節減することができるという。
新開発の正極材を用いるとともに、電極の組成を最適化したことで、電極の低抵抗化を実現している。これにより、エネルギー出力密度を従来製品に比べで40%向上させた。この結果、ドローンが急激に上昇/下降した場合においても出力電流が追従し、モーター性能を十分に引き出すことで、気流の乱れなどに対する飛行安定性を確保することができるという。低温環境においても高い出力を維持することができ、約−10℃までは電池を加温することなく飛行することを可能にした。
さらに、長寿命化と高い安全性も実現している。電極材料や電解液、添加剤などの組み合わせを最適化したことで、充放電を繰り返した時の耐久性(容量低下特性)は、従来製品に比べて10%以上も向上した。この耐久性は一般的なリチウムポリマー二次電池の2倍以上になるという。電池の長寿命化を可能にすることで、飛行回数の増加やランニングコストを節減することができる。また、正極と負極を絶縁するセパレータには、高熱に強いタイプを用いることで、安全性も高めた。
新製品は2017年度第1四半期(4〜6月)より発売する予定。ドローンをはじめロボットなどの駆動用電源として、2018年度には20億円の売上高を見込んでいる。なお、今回開発したリチウムイオン二次電池の実機による飛行性能試験は、自律制御システム研究所が行った。
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