ルネサスによれば、フィン構造のSG-MONOSフラッシュメモリセルにおいて、書き込みおよび消去動作を確認したところ、従来のSG-MONOSフラッシュメモリセルに比べて、書き込み/消去速度としきい値電圧変動幅が改善したという。
さらに、今回発表したSG-MONOSフラッシュメモリセル向けに、書き込み電圧を段階的にかけていく、ステップパルスという書き込み手法を取り入れた。フィン構造では、一気に電圧をかける(定電圧パルス)と、フィンの先端部(とがった所)に電界が集中して膜が破壊され、特性劣化を引き起こすという課題がある。そのためルネサスは、ステップパルスを採用することで、書き込み電圧の印加による電界の集中を緩和させた。その結果、フィン構造のSG-MONOSフラッシュメモリセルの経年劣化が減少することを確認したという。ルネサスによると、書き換え回数は、データ保存用フラッシュメモリで25万回を実現した。
塘氏は「今回の開発は、SG-MONOS構造を16nm/14nm世代以降のフラッシュメモリにスケーリングできることを示している」と述べた。
ただし、今回はあくまで、(メモリセルの)トランジスタ1個の特性を確認しただけである。ルネサスの生産本部 デバイス開発統括部 先端デバイス開発部 部長の山口泰男氏は、今後について、「64Mバイトなどのメモリセルアレイを構成した時に、均一に動作できるかどうか。それを確認していくのが次のステップ」と説明した。2023年の実用化を目指すという。なお、その際どこで製造するかについては今後決めていくという。
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