自動運転でFPGAの期待値高まる、ザイリンクスがデモ : 国際カーエレクトロニクス技術展 (3/3 ページ)
ザイリンクスは2004年に車載市場に参入して以来、12年間にわたり、主にADAS向け製品のラインアップを強化してきた。同社は「レーダー、ライダー(レーザーレーダー)、カメラ向けの製品は全てそろっている」と話す。2016年における同社の車載向けFPGA、SoCの出荷数は約1900万個に上る。そのうち1200万個はADAS向けだ。「2016年、当社のADAS向け製品の出荷数は前年比で20%増加した。2017年も15〜20%増加すると見込んでいる」(ザイリンクス)
2016年、ザイリンクスの製品は23メーカー、85車種に採用された(クリックで拡大) 出典:ザイリンクス
これまでは主にADAS向けに製品を出荷してきたザイリンクスだが、特にここ1年程は自動運転技術においてFPGAの存在感が高まっていることを感じるという。
自動運転技術は大きく3つのブロックに分けて考えられる。センサーやカメラで何がどこにあるかを「認識する」ブロック、それらの情報を基にどう運転するかを「決定する」ブロック、そしてその決定に基づいて「運転する」ブロックである。
ザイリンクスは「これら3つのブロックのうち、“認識する”と“運転する”については技術的にはほとんど確立されている。“認識する”についてはADASが当てはまるし、“運転する”についてはクルーズコントロールなどが該当するだろう。問題はその中間だ」と述べる。ザイリンクスは、「決定する」については、自分(クルマ)の位置特定と経路計画の2つがコア技術になるとみている。ただ、この「決定する」というブロックに限らず、自動運転技術は極めて複雑な上に、自動運転技術によって差異化を図ろうとする自動車メーカーも多い。そのため、ICやシステムの設計が、まだまだ確定していない状態だ。ザイリンクスは、「そこで、FPGAのようにプログラマブルなICが求められるようになっている。ASICに比べてTime to Marketが短いFPGAは、ADASや自動運転分野においてクルマメーカーからの期待値が高い」と強調した。
自動運転に必要な3つのブロック。「認識する(Cognition)」「決定する(Decision)」「運転/操作する(Operation)」(クリックで拡大) 出典:ザイリンクス
FPGA大手で唯一生き残るXilinx、国内戦略を聞く
FPGA大手ベンダーで唯一買収されずに生き残っているXilinx。同社日本法人のザイリンクス社長で韓国のVice Presidentを務めるSam Rogan(サム・ローガン)氏に国内の戦略を聞いた。
16nm「Zynq」は消費電力5W以下、自動運転向け?
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ADASはカメラ+レーダー+ライダーの三位一体で
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ルネサス 自動運転車の頭脳となる次世代SoC発表
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Intel、IoTを巡ってARMと対決
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自動運転車はステレオカメラだけで実現できる――「アイサイト」開発者に聞く
自動運転車などに不可欠な自動車の周辺環境を検知するセンサーとしてステレオカメラが注目を集めている。ステレオカメラの第1人者で、富士重工業のステレオカメラを使った運転支援システム「アイサイト(EyeSight)」の開発にも携わった東京工業大学放射線総合センター准教授の實吉敬二氏にステレオカメラの可能性などについて聞いた。
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