米国と欧州におけるポピュリズムの台頭は、予想を難しくしている要因の1つだ。
経済学者は、減税や規制緩和、インフラ投資といったトランプ大統領の政策によって、米国のGDP成長率が2%を超えるとは考えていない。McClean氏は、「米国が3%の成長を続けられる時代は終わったと考えている」という。同氏は、「トランプ大統領は4%の成長を目指しているが、実現は難しいだろう。実際の成長率は2%にとどまると予想される」と述べている。
さらに、「こうしたプログラムが資金を循環させ、変化を生み出すには時間がかかる。2017年はわずかに上向くと予想されるが、3〜4%の成長率を即座に実現できるとは誰も考えていない」と付け加えた。
同氏は、「トランプ大統領が中国と貿易戦争を始めれば、計画は台無しになるだろう。高額な関税を課すことになれば、ビジネスにはマイナスだ」と指摘している。
欧州では、シリア難民問題とイギリスのEU離脱による圧力の下、ポピュリズムが拡大している。同氏は、「オランダとフランス、ドイツ、そして恐らくイタリアも2017年に選挙を控えているが、選挙後の欧州の動向はさらに厳しいものになると予想される」と述べている。
同氏は、英国のEU離脱が実質的には2019年になることを挙げ、「もしイタリアがEUを離脱することになれば、大きな変化が訪れるだろう」と述べている。同氏は、「イタリアのEU離脱によってポピュリズムに拍車が掛かり、経済成長が鈍化する」と予想している。
McClean氏は、「中国は2021年に、世界IC市場の50%近くのシェアを占める」と予想している。具体的には、中国のシェアは現在の38%(1120億米ドル)から44%(1660億米ドル)に拡大するという。中国は現在、世界のDRAMの半分、フラッシュメモリの3分の1近くを消費している。
ただし、同氏は、国内生産を大幅に増やすという中国の計画に対しては懐疑的な見方を示している。同氏の予測によると、「2021年の中国の半導体売上高は297億米ドルで、これは国内需要の約17.9%に相当する」という。同氏は、「現時点では、世界半導体市場における中国のシェアは4%だが、2021年には7.85%に増加する」と予想している。
同氏は、「中国は2021年に国内需要の40%を生産することを目指しているが、到底、達成できない目標だ」と述べている。
「中国は、政府および個人投資家から1600億米ドル近い資金を調達しているにもかかわらず、中核技術が欠如しているため、半導体産業を強化するというプロジェクトは目標を大きく下回る」と同氏は確信しているという。
「中国の計画は20年遅かった。成熟の進んだ市場に飛び込もうとしているが、中国の工場が導入している技術は最先端からは程遠いものだ」(McClean氏)
中国の工場新設によって、2017年の設備投資は前年比で5%増、そして2018年は9%増になるとみられている。だがMcClean氏は「バブルかもしれない」と述べる。「そういった傾向がどのくらい続くのか、誰にも分からない。(中国の半導体強化は)あくまでも政府が決めたことで、ビジネス的にそれがうまくいくかは、また別の話である」(同氏)
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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