日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は2017年3月3日、報道機関向けに自動テストの展望を説明する記者発表会を開催した。製造業においてテスト部門を、コストセンターから、戦略的資産という重要な位置付けに高めるためのシナリオを語った。
「これまでテスト部門はバックオフィス的な存在だったが、今後は戦略的資産へと変わりつつある」
こう語るのは、計測器メーカーの日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)でAPACリージョナルマーケティングマネジャーを務める久保法晴氏だ。同氏は、インダストリー4.0など製造業において技術的な変化が起きる中で、テストエンジニアリングの位置付けが極めて重要になっていると続ける。
久保氏は、IT部門を例に挙げてこの流れを説明した。20〜25年前、企業のIT部門というのは、社内でサーバを立ち上げ、LANケーブルをオフィスに敷設するというバックオフィス的な部門だった。「それが今やIT部門は企業の花形であり、戦略的な位置付けを持つ部署になっている。CIO(Chief Information Officer/最高情報責任者)という役職を設けるほどになっていて、経営戦略に大きなインパクトを与える部門になった」(久保氏)
製造業におけるテスト部門にも、これと同じことが起きていると久保氏は強調する。
テスト部門を戦略的資産へと高めるには、テスト総所有コスト(TCO:Total Cost of Ownership)という考え方が重要になる。開発コスト、導入コスト、運用コストの3つを総合して、コストを考えるということだ。「新しいシステムの導入を検討する際、どうしても導入コストや開発コストだけを気にすると、それなら既存のシステムを使い続けたいいのではないか……と、導入をためらいがちだ。だが、運用コストを考慮すると、3年間、5年間という長いスパンで見た時にどれだけ投資対効果があるのか、ということをしっかり考えようというのがTCOだ」(久保氏)
半導体メーカーにとっては当然のようにも思える考え方だが、久保氏によれば「半導体以外の業界では、TCOの考え方が浸透していない可能性があるとわれわれはみている。さらに、半導体業界の中でも、(メモリやプロセッサなど)デジタルの業界ではある程度TCOを活用していても、アナログ半導体の分野では、まだこれからという印象を受ける」という。
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