久保氏は、テスト部門を戦略的資産へと高めるには3つの段階的シナリオがあると説明する。「Invest(投資)」「Scale(拡張)」「Reuse(再利用)」だ。新しいテストシステムを導入するという「Invest」の段階では、まだコストセンターという要素が強い。だが、そのテストシステムを他の工場に拡張したり、開発する機器に合わせて再利用できるようになってくると、戦略的な部門への位置付けに近づいていく。テストシステムをゼロから立ち上げるのではなく、拡張したり再利用したりすれば、それだけテストシステム構築の時間は短くなり、早くテストを開始できる。開発効率が上がり、市場投入期間(Time to Market)が短縮される。ここまでくれば、テスト部門は「競争力を維持するためには欠かせない部門となるだろう」(久保氏)
久保氏は「Reuse」の事例として、オランダのPhilipsを挙げた。Philipsは睡眠、呼吸障害治療システムのテスト環境を構築する際、テストプラットフォームを再利用した。その結果、年間で約450万米ドルのコスト削減につながったという。再利用ならば、テストソフトウェアの不具合も、ゼロから開発した時に比べて格段に減るので、リソースの無駄がなくなる。実際、Philipsは、ソフトウェアの不具合検出に掛かるコストを86%削減したという。
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