最新の半導体ロードマップ「IRDS」によると、CMOSの微細化は2024年末ごろまでに終えんを迎える見込みだという。
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最新の半導体ロードマップ「International Roadmap for Devices and Systems(IRDS:国際デバイスおよびシステムロードマップ)」の策定に取り組む技術者チームが、2017年3月23日に、ホワイトペーパーを発表した。この中の1つによると、半導体の微細化は、2024年末ごろまでに終息する見込みだという。
ただし、朗報といえるのは、幅広い種類の新しいデバイスやチップスタック、システムイノベーションなどの登場により、コンピューティング性能や電力、コストなどの面で、引き続きさまざまなメリットを享受できる見込みだという点である。
今回、IRDSの一環として発表されたホワイトペーパーは、全部で9本ある。その中の1つは、「これまで、CPP(Contacted Poly Pitch)やメタルピッチ、セルの高さなどの微細化を同時に行うことにより、ダイコストの削減を実現してきた。こうした傾向は、2024年まで続くとみられる」と主張する。
また同ホワイトペーパーによると、「2024年以降は、CPPの微細化に伴って、コンタクト面積の余地がなくなり、性能も低下していくことになる。物理チャンネル長は、12nm前後にいったんとどまるとみられる。一方でCPPは、デバイスコンタクト向けに十分なCD(〜11nm)を確保し、寄生容量は許容範囲内に収まり、CPPの微細化は24nmでとどまると見込みだ」という。
IRDSは、1965年に初版が発行された国際半導体技術ロードマップ(ITRS:International Technology Roadmap for Semiconductor)の拡張版である。IEEEが2016年5月に、ITRSの取り組みを引き継いだ時、新しい種類のシステムレベルの技術をカバーすべく、その名称をIRDSに変更した。
IEEEは、米国ワシントンD.C.で2017年11月に開催予定のイベントにおいて、IRDSの最初の正式版を発表する予定だという。今回、この正式版の発表に向けた中間段階の取り組みとして、新しいホワイトペーパーが発表されたのである。
ホワイトペーパーの大半は、ITRSがこれまでに、CMOS微細化や新型デバイス、歩留まりなどの分野に注目しながら進めてきた、従来の取り組みを継続している。しかし中には、システムインターコネクトの他、量子、神経形態学的システムといった新型コンピュータなど、新しい分野を開拓したホワイトペーパーもある。
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