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三菱電機がSiC-SBDを単体で提供、高いニーズ受けテクノフロンティア 2017

三菱電機は「TECHNO-FRONTIER 2017(テクノフロンティア2017)」(2017年4月19〜21日、幕張メッセ)で、SiCパワーデバイスや、鉄道や大型産業機械向けの高電圧IGBTモジュール、水を流して直接冷却できる自動車用パワーモジュールなどを展示した。

» 2017年04月20日 11時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

SiC-SBDをディスクリートで提供

 三菱電機は「TECHNO-FRONTIER 2017(テクノフロンティア 2017)」で、産業機器向けや自動車向けのパワー半導体モジュールなどを展示した。

 中でも注目の製品は、SiCを用いたSBD(ショットキーバリアダイオード)「SiC-SBD」だ。2017年3月に発売されたもので、モジュールではなく、ディスクリートとして提供されることが一番のポイントである。三菱電機は以前からSiC-SBDやSiC-MOSFETを開発しているが、ディスクリートではなく、SiCパワーモジュールとして提供してきた。

 だが、顧客からディスクリート品への強いニーズがあり、「SiC-SBD」の発売を決めたという。「SiCパワーモジュールは、まだまだ価格が高い。その点ディスクリートのSiC-SBDは比較的安価で、Si-SBDからSiC-SBDに試しに置き換えてみるといったことも手軽にできる。そうした使い勝手の良さから、SiC-SBDのディスクリート品へのニーズが強かった」(三菱電機)。三菱電機が十数年ぶりにディスクリート品を発売したという点でも話題になったと、同社は説明する。

2017年3月に発売した「SiC-SBD」(クリックで拡大)

第7世代IGBTを搭載した製品も展示

 テクノフロンティア 2017では、三菱電機の第7世代IGBTを搭載した製品も複数、展示した。例えば、鉄道や大型産業機械など向けの高電圧IGBTモジュール「HVIGBTモジュール Xシリーズ(以下、Xシリーズ)」だ。第7世代IGBTと、同社独自のダイオード「RFC」の採用により、電力損失を従来品に比べて約20%低減した。RFCは「Relaxed Field of Cathode」の頭文字を取ったもので、カソード側の電子移動度を最適化したダイオードだという。

 これまでXシリーズは、6.5kV/1000Aの1種類のみだったが、2017年4月に、3.3kV/1200A品、4.5kV/900A品など一気に8品種を追加した。

 さらに、パッケージには、標準品に加え、Infineon Technologiesのパッケージと互換性がある新しいパッケージ「LV 100」を採用した品種もそろえた。このLV 100のパッケージを採用した品種は、1.7kV/900A品と、3.3kV/450A品がある。LV 100は、端子配列を最適化したことで、簡単に並列接続ができる点も特長となっている。

左=Infineon Technologiesのパッケージと互換性がある「LV 100」。標準パッケージに比べて小型になっている/右=2個のモジュールを並列接続している(クリックで拡大)

 自動車用のパワーモジュール「J1シリーズ(6in1)」も展示した。J1シリーズ(6in1)は、IGBTとダイオードを6個ずつ搭載(=6in1)したモジュールで、「Pin-fin(ピンフィン)」と呼ばれる冷却フィンと一体型になったパッケージを採用している。ピンフィンは、小さな突起がついた金属板で、その突起を水冷ジャケットに差し込み、そこに直接水を流して冷却する。ヒートシンクが不要なので、小型化できる。三菱電機は「自動車ではエンジンを水で冷却するので、パワーモジュールを水冷することにもあまり抵抗がない」と説明している。

左=「J1シリーズ(6in1)」のパッケージ。小さな突起がたくさん付いた、「Pin-fin」という冷却フィンと一体になっている/右=Pin-finを水冷ジャケットに差し込んだところ。この水冷ジャケットに直接水を流して、冷却する(クリックで拡大)
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