米国カリフォルニア州車両管理局が公開した情報により、公道で自動運転車をテスト走行することを許可されたメーカーの1つに、Appleが含まれていることが分かった。Appleが自動運転車の開発を本気で進めていることを示すものといえるだろう。
米国カリフォルニア州車両管理局(Department of Motor Vehicle:DMV)が2017年4月14日(金曜日)に発表した最新情報によって、米国の高速道路と側道での自動運転車のテスト走行を新たに許可された30社に、Appleが含まれていることが公になった。
DMVは、いかなるメーカーに対しても、カリフォルニア州の道路上で自動運転車を試験走行させる場合、事前に申請するよう求めている。そのため、今回明らかになった事実は、Appleが自動運転車技術を開発する意図があることを確実に示すものだといえる。
DMVのWebサイトは、現在開発中の自動運転車に関するさまざまな情報の宝庫になっている。
さらにDMVは、自動運転モードで走行していた時に発生した事故についても明らかにしている。
このページには、過去2年間にカリフォルニア州で発生した自動運転車関連の事故についての報告がまとめられている。報告された28件のうち、24件はGoogleが届け出たもの(Googleは自動運転関連の技術開発に早期に取り組み始めているので、これは驚くべき件数ではない)で、3件がGM(Gereral Motors)、残りの1件がDelphi Automotiveによるものである。
IHS AutomotiveのインフォテインメントおよびADAS(先進運転支援システム)部門でリサーチディレクターを務めるEgil Juliussen氏は、このWebサイトで最も興味深いコンテンツは、自動車メーカーが「自動運転機能の解除(Disengagement)」の報告をまとめたページだという。
2016年に提出された報告書の一覧は、こちらから見ることができる。
DMVによると、「California Autonomous Vehicle Testing Regulation(カリフォルニア州における自動運転車のテスト走行に関する規則)」は、公道で自動運転車のテストを許可されたメーカー全社に対し、「テスト実施中における自動運転機能解除の発生頻度」をまとめたレポートを年に1回、提出するよう求めているという。
Google(現在は、同社の持ち株会社であるAlphabetが設立したWaymoが、自動運転技術の開発を手掛けている)のケースをみてみよう。
2015年、Googleは1000マイル(約1610km)ごとに0.8回の自動運転機能の解除を行ったが、開発がWaymoに移行された2016年になると、この数値は0.2回まで下がっていて、1年前に比べ改善している。Juliussen氏は「Googleの自動運転技術は、順調に向上していることが分かる」と述べた。
DMVは規定の中で、自動運転機能解除を、「次の2つの状況において自動運転モードを停止すること」と定義している。2つの状況とは、1)自動運転技術の不具合が検知された時、2)自動運転モードがテストドライバーに対し、自動運転モードを解除して即座に手動運転に切り替えることを求めた時である。
DMVがこのように定義を明確にしたのは、テストでは日常的に繰り返されているであろう軽度な自動運転機能解除まで報告することはない、との判断からだ。
Juliussen氏は、Googleの自動運転機能解除に関するレポートの有意義な点として、同社が同機能解除の原因をカテゴリー別に報告している点にあると述べた。2016年のレポートによると、テスト中に起きた全ての自動運転機能解除のうち、41パーセントが「ソフトウェアの不具合」によるものだったという。
自動運転の分野は、まだ黎明(れいめい)期だ。今後は政府も、自動車メーカーが公道をテスト走行して得た膨大なデータを共有するよう求めるようになるかもしれない。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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