一方、東芝システムが参考出展した眼電位センシングは、眼球の回転による眼電位の変化を検知するシステムだ。眼球には網膜にプラス、角膜にマイナスの電荷があり、両者の間に電位が存在する。眼球が動くと眼球の電位も変化するのだが、電位の変化は皮膚の表面上に現れる。東芝システムの眼電位センシングでは、4つの電極を皮膚の表面に置くことで、皮膚の表面上に現れた眼電位の変化を取得し、ひいては眼球の動きによる眼電位の変化を捉える。
眼電位の変化を捉えることで検出できるのは“まばたき”だ。東芝システムの眼電位センシングは、運転手専用の帽子の裏に設置したA-Dコンバーターで電位の変化を採取し、ソフトウェア上で信号処理を行い、電位の波形を検出する。人がまばたきしたときは眼球が上に回転するため、電位の波形が特徴的な形になる。
なぜまばたきを検出するかと言うと、まばたきから眠気や緊張が推定できるためだ。眠気や緊張とまばたきに強い相関があるという研究は既に多数報告されている。例えば、まばたき1回当たりの平均時間は通常0.3秒だが、まばたきの時間は眠気に応じて長くなるという。
東芝情報システムの説明員は、「われわれの眼電位センシングを活用すれば、運転手のまばたきの時間を測定し、眠気が強くなったときにリアルタイムで警告音を発することができる。また、どのタイミング(時間、場所)で眠くなるか、あるいは緊張するかといったデータを蓄積し解析することも可能だ」と説明している。
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