Micron Technologyの子会社であるInotera MemoriesのDRAM製造工場の稼働が停止したことで、DRAMの世界供給量が低下する可能性が出てきた。それにより、価格の上昇も懸念されている。
台湾の市場調査会社TrendForceのメモリおよびストレージの調査部門であるDRAMeXchangeは、米Micron Technologyが台湾のDRAM製造工場での生産を停止したことを受け、「DRAM供給状況が世界的にさらに悪化し、価格上昇につながる」との見解を示した。
Micronは2017年7月1日、台湾・桃園市にある製造工場「Fab 2」の稼働を停止した。これは、窒素ガス分離装置が誤動作を起こし、ウエハーや製造装置を汚染していたことが判明したためである。DRAMeXchangeの見積もりによると、Micronの子会社である台湾のInotera Memoriesは、この件によって、月産6万枚のウエハー処理能力を失うことになるという。
DRAMeXchangeは、「こうした状況から、2017年7月のDRAM世界生産量は約5.5%減少する」と予測している。
Micronの広報は、EE Timesとの電子メールのやりとりの中で、「桃園市のFab 2は2017年7月1日の事故後すぐに復旧したため、当社のDRAM事業に大きな影響はない」と述べている。
Micronは、状況の確認を継続し、必要に応じて顧客やサプライヤーに最新情報を提供する考えだという。
だがDRAMeXchangeは、「生産施設のクリーニングと復旧には時間がかかる」と指摘する。同社は、「Fab 2の一時的な生産停止が次世代『iPhone』の出荷に影響を及ぼす恐れがある」と述べている。
DRAMeChangeは、「現時点では、DRAMのバイヤーとサプライヤーの双方が、Fab 2の稼働停止による損害の程度を測りかねている。Fab 2が迅速に稼働を再開できるかどうかが不明であることが、2017年第3四半期の契約に関する交渉に影響を及ぼす可能性が高い」としている。
DRAMeXchangはまた、「DRAMの価格上昇の兆しを既に示唆しているサプライヤーもある。今回の稼働停止は、DRAMの供給をさらに圧迫し、価格の上昇に拍車を掛けると予想されることから、DRAM市場への長期的な影響が懸念される」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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