キーサイト・テクノロジーは2017年7月12〜13日にかけて、プライベートイベント「Keysight World 2017 東京」を開催中だ。米国本社Keysight Technologies(以下、Keysight)プレジデント兼CEOのRon Nersesian氏は、記者説明会で「従来のハードウェア中心の成長戦略から、ソフトウェア中心の製品群を拡大する成長戦略へと舵を切る」と語った。
「5G(第5世代移動通信)や自動運転市場に注力する当社にとって、日本は極めて重要な市場だ」。Keysight Technologiesプレジデント兼CEOのRon Nersesian(ロン・ネルセシアン)氏は、開口一番こう語った。それを象徴するように、キーサイト・テクノロジー(以下、キーサイト)は「Keysight World 2017 東京」の開催に非常に力を入れている。
Nersesian氏は、「われわれは、1939年に設立されたHP(Hewlett-Packard)から始まり、2014年には電子計測に特化したメーカーとなった。電子計測技術において80年近くにわたる歴史を持つ当社の一番のミッションは、顧客の技術革新を促進することだ」と強調する。
そのために、基本的な成長戦略を従来のハードウェア中心からソフトウェアおよびサービス中心へ移行すると、Nersesian氏は続ける。「以前は、ハードウェアでいかに測定するかが最も大切だったが、現在はソフトウェアを含むソリューションが重要になってきている」(同氏)。同社の2016年度の売上高は29億米ドルだ。そのうち、ソフトウェアとサービスの売上高が占める割合はそれぞれ13%だという。
この成長戦略を支えるプログラムとして、1)5G市場向けに、どこよりも迅速に製品を提供すること、2)自動車およびエネルギー分野への事業拡大、3)保守や校正といったサービス分野へのビジネスの拡大、4)ネットワークテスト、ネットワーク可視化テスト分野への事業拡大を掲げる。特に4つ目については、2017年1月に発表した米IXIA(イクシア)の買収が大きく貢献する。IXIAは、物理ネットワークおよび仮想ネットワーク向けのテストソフトウェアを手掛けるメーカーだ。Nersesian氏は、「IXIAの買収により、Keysightはネットワークテストの分野にもビジネスを拡大するチャンスを得た」と述べる。
Keysightは2015年8月、無線通信の研究開発向けソフトウェアを手掛ける英Anite(アナイト)の買収を完了した。Nersesian氏は、「Keysightは従来、ネットワークの第1層(物理層)向けの製品に注力してきた。Anite、IXIAを買収することで、第2層から第7層まで、つまりエンド・ツー・エンドを包括した製品を提供できるようになる。顧客に、よりよいソリューションを提供する準備が整った」と強調した。
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