InGaAsP MOS界面の作製と、異種材料集積を行うときの製造プロセスも工夫した。電子サイクロトロン共鳴スパッタによる平たんな絶縁膜の形成や、酸素プラズマ照射によるシリコンとInGaAsPの絶縁膜を介した直接接合などを行った。これらの技術により、シリコンフォトニクス技術との親和性を保ちつつ、高効率と低損失を同時に達成した光変調器を開発することができたという。
作製したMZMは、変調効率を表す半波長電圧と変調領域の長さの積が0.09Vcmである。この数値は、シリコンの「キャリア引抜型」光変調器に比べて約10倍の効率だという。その上、位相変調領域長が0.25mmの素子で、挿入損失1dB(透過率約80%)の低損失を達成している。さらに、32Gビット/秒の変調を行い、100Gビットイーサネット(100GbE)にも適用可能なことを確認したという。
NTTは今後、開発した複数のMZMと光フィルターの集積化が比較的低コストで行え、伝送容量が1ポート当たり1Tビットを上回る送信機を実現することも可能になるとみている。データセンターにおける消費電力の低減にも期待できるという。
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