中国がレーザー照明を使った街灯の実証実験を行う。レーザーダイオードのコストという課題はあるが、高価なケーブルを使用せずにエネルギーを削減できる照明技術として期待されている。
中国は2017年9月に、恐らく世界で初めてとなる街灯用レーザーの試験運用を開始する。高額なケーブルインフラを使用せずにエネルギーを削減できる革新的技術として期待される。
原子力科学博士であるDavid Ho氏と中国のJinjingは、中国南東部の福建省福州市でこの新しい照明技術を開発した。試練運用は、2017年9月に福建省福清市で開始される。
同技術は、青色光のレーザービームを使用して、送電線を使わずにエネルギーの長距離伝送を実現する。量子誘導材料を用いた装置にレーザービームを照射すると、レーザーエネルギーが照明用の光に変換される仕組みだという。
Mercedes-BenzやBMWなどの自動車メーカーは既に、自動車用ヘッドライトに同様の技術を適用しているが、中国の試験運用では、街灯や道路照明、送電網を接続しにくい環境向けのアプリケーションの開発を目指している。
University of California Santa Barbara(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)のSteven DenBaars教授を始めとする研究者は、同技術を数年間研究してきた。理論的には、レーザーダイオードは1cm2当たり、市販のLEDに比べて2000倍の光を生成できる。従来の照明用のレーザーは、青色レーザー光を蛍光体に照射して、より拡散性の高い白色光に変換している。
Ho氏は、「レーザー照明は、将来の省エネルギーの鍵になる。この夢のような技術が実現する日は近い」と述べている。
中国で実施される同技術の実証実験では、システムに電力を供給するソーラーパネルを使用して、LED照明に使用されるエネルギーの3分の2を削減するという。レーザービームを使用した電力伝送によって、送電線や物理インフラが不要になる。
同技術は既に、システムの最適化と商用テストの準備が整っているという。約半年後に量産を開始する予定だ。
同技術は、福建省と江蘇省のベンチャーキャピタルからアーリーステージ投資を受けて実施されている。Ho氏によると、同システムは、福清市での試験運用の完了後に、福建省近くの羅源県のプロジェクトに展開される予定だという。
中国では、同システムの設計に対して特許が承認されている。この他にも、中国および他の国々で継続中の特許もある。
Ho氏は、レーザー照明システムを実用化する際の課題としてレーザーダイオードのコスト削減を挙げながらも、もしレーザー照明システムが有効だと認められて商用化されれば、10年以内にLED照明を置き換える可能性もあると述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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