さて、これらの"マッチング技術"ですが、他のAI技術が、(技術的にはすごくても)なかなか実用化につながらないのに比べて*) ―― まあ、なんというか、圧倒的な数の成果のテンコ盛りです。
*)「我々が求めるAIとは、碁を打ち、猫の写真を探すものではない」
とにかく適用分野が広い。工学、コンピュータ科学、生物学のような理系分野だけでなく、心理学から、経済学、経営学、政治学、法学、社会学、人類学に至るまで、文系分野までバッチリ、サポートしています*)。比して、『"ニューラルネット"や"機械学習"が、政治や法律に使われた』というニュースや論文を、私はまだ目にしたことがありません。
*)というか、これらの"マッチング技術"は、理工学ではなく、経済学から始まっているので、当然かもしれませんが。
ゲーム理論についてスタートを切ったのは、今、私たちが使っているPCの原形「ノイマン型コンピュータ」を考案したジョン・フォン・ノイマンさんと、それに続く「ナッシュ均衡」のジョン・フォーブス・ナッシュさんです(関連記事:陰湿な人工知能 〜「ハズレ」の中から「マシな奴」を選ぶ)。
ゲーム理論については、この回でお話したので今回は割愛しますが、旧約聖書における神の行動(の矛盾)を、非協力ゲーム理論の観点から解析している人もいます(今「旧約聖書のゲーム理論―ゲーム・プレーヤーとしての神」読んでいますが、面白いです)。
さて、次にオークション理論ですが、オークション自体は、ほとんど文明の発生と同時に行われていたほど起源が古く、「人類最古の"マッチング技術"」と言っても過言ではありません。少なくとも紀元前500年の古代バビロニアにおいて、「妻とする女性」をオークションで購入していたらしいです。"魅力のある女性"には、高値が付けられて、男性に売買されていたようです*)。
*)この時代の話に人身売買の是非を論じても仕方がないので、その件についてはスルーしてください。
ここに面白い話が一つあります。"魅力のない女性"は、どのように扱われたのでしょうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.