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心を組み込まれた人工知能 〜人間の心理を数式化したマッチング技術Over the AI ―― AIの向こう側に(15)(11/13 ページ)

» 2017年09月21日 11時30分 公開
[江端智一EE Times Japan]

「婚活マッチング市場」を考察する

 では、今回最後の話題として、「婚活マッチング市場」についての概況をお話したいと思います。

 今回は、独身の後輩のFさんにインタビューをして、その結果を纏めたもののみを報告します。現時点で、婚活マッチング市場を使う予定のない私(×独身主義者、○既婚者)には、いまひとつ、丁寧に調査研究するモチベーションが働かなかったからです。

 以下は、Fさんにインタビューした時のメモの内容を記載したものです。今回は、市場範囲をネットサービスに絞ってインタビューをさせて頂きました。

 「なんだこれ。出会いのチャンスなんか、潤沢にあるじゃんか」と思いましたが、チャンスが多ければ良いというものではない、ということは、冒頭の「5人の後輩による江端糾弾集会」で明らかになっていますので、この件については、これ以上のコメントは差し控えたいと思います。

 Fさんによれば、婚活マッチングのネットサービスは、大きく2つ「SNS」と「街コン」だそうです。

 「SNS型婚活マッチング」は、婚活相手の情報公開(アメ)と情報制限(ムチ)で利益を上げるビジネスとして、「街コン型の婚活マッチング」は、レストランの貸切の仲介で利益を得るビジネスとして把握できます。

 さて、それぞれの婚活マッチングのネットサービスに対する、江端式の婚活マッチング運用マニュアルを作成してみましたので、ご参照ください。

 しかし、「SNS型婚活マッチング」であれ、「街コン型婚活マッチング」であれ、システムが提供するのは、そのマッチングのインタフェースにすぎません。私が調べている限り、ゲーム理論や、オークション理論を適用した、『AI婚活マッチング』なるものは、発見できていません。

 もっとも、「人工知能で婚活マッチング」なるワードで検索すれば、いくつも記事を拾うことができますが、どの記事においても、その効果を数値で示している会社、組織、研究団体はゼロでしたし、特許庁の検索エンジンでも探してみましたところ、該当する特許出願は数件ありましたが、特許査定されているものはゼロでした*)

*)「結婚」と「マッチング」で9件検出。全て(みなし)取下げ、または拒絶査定。ちなみにキーワードに「恋愛」を含んでいる明細書は65件、「結婚」では832件ありました。

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