Maxim Integrated Productsは、車載インフォテインメントおよびADAS(先進運転支援システム)向けに、最新のSerDes技術を発表した。これまで2つのリンクで別々に伝送していたビデオとギガビットEthernet(GbE)のデータなどを、1個のICで送れるようになる。【訂正】
Maxim Integrated Products(以下、Maxim)は、ドイツ・ボンで2017年10月18〜19日に開催される「ELIV(Electronics in Vehicles) 2017」で、車載インフォテインメントおよびADAS(先進運転支援システム)向けの「GMSL(Gigabit Multimedia Serial Link) SerDes IC」を披露した。
「GMSL」はMaximの製品カテゴリーの1つで、HD(高品位)ビデオやオーディオ、センサーデータ、制御データ、ギガビットEthernetデータなどのデジタルデータを、最大15mの同軸ケーブル、あるいは10〜15m長のSTP(Shielded Twisted Pair)ケーブル上で伝送するための製品を指す。シリアライザーIC、デシリアライザーIC、SerDes ICがあり、いずれも車載EMC規格に準拠している。
Maximのオートモーティブ製品事業部でエグゼクティブ・ディレクターを務めるBalagopal Mayampurath氏は、ADASや車載インフォテインメントの分野では、大きく3つの課題があるという。高解像度のビデオやセンサーデータなどを伝送する必要があることから、要求される帯域幅が増大していること。実際、市場調査会社のStrategy Analyticsが2017年に発表した予測によると、車載アプリケーションで要求される帯域幅は2017〜2020年で約25倍に増加するという。
2つ目が、自動車内部のケーブルやネットワークなどの相互通信が、より複雑になっていることだ。搭載するプロセッサやセンサーが増えれば増えるほど、インターコネクトは複雑になる。3つ目の課題はデータインテグリティである。ADASや自動運転では、センサーから取得したデータを基に制御の判断を行うので、データが完全性を欠く場合、重大な問題につながる可能性もある。
Mayampurath氏は、こうした課題に対する解の1つとしてMaximが提案するのがGMSLだと説明する。「GMSLによって、使用するチップやインターコネクトの数を低減できる。
GMSLは2003年に最初の製品が発表されて以来、約2年ごとに新製品が発表されている。Mayampurath氏は、「われわれは毎年、数百万個ものGMSL製品を出荷している。GMSLについては20年に近い開発経験と実績がある」と自負する。ELIV 2017でMaximが披露した製品は、その最新版となる「Next-Generation GMSL Technology」(以降、次世代GMSL)だ。
次世代GMSLが、既存のファミリーと最も異なるのは、信号波形のなまりを検証する機能がチップに内蔵されている点だ。ケーブルに流れるデータ量が増加すると、デジタル信号の矩形波がなまってくる。このなまり具合を確認するため、従来は専用の計測器を接続し、アイパターンの開きを確認していたが、次世代GMSLは、アイパターンを生成する機能「Eye-mapper」がチップに内蔵されているので、測定器を接続しなくても、ソフトウェアでアイパターンを確認できるようになっている。
さらに、次世代GMSLには、データのやりとりを行うためにマージンがどれくらいあるのかを測定する「Link margin tool」も搭載されている。
【訂正:2018年1月30日16時30分 上記の図版は、記事掲載当初と異なるものです。Maxim Integrated Productsより、表示されている情報の都合で差し替えの申し入れがあったため、変更しました。】
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