SiC(炭化ケイ素)などワイドバンドギャップ半導体単結晶の国内市場(メーカー出荷金額)は、2017年の約96億円に対し、2023年は約153億円に拡大する見通しとなった。
矢野経済研究所は2017年10月、SiC(炭化ケイ素)などワイドバンドギャップ半導体単結晶市場(メーカー出荷金額)に関する調査結果を発表した。国内市場の予測は2017年の約96億円に対し、2023年は約153億円に拡大する見通しとなった。
調査したワイドバンドギャップ半導体単結晶は、次世代パワー半導体などの材料として注目されているSiCやGaN(窒化ガリウム)、Ga2O3(酸化ガリウム)、AlN(窒化アルミニウム)および、ダイヤモンドを対象としている。
これらワイドバンドギャップ半導体単結晶の国内出荷額は、2016年に88億2600万円と推計した。現在、主流となっているシリコンウエハーに比べると、その市場規模は1〜2%と小さいものの、着実にその応用が広がっているという。
2016年の材料別出荷額とその構成比は、SiCが49億5900万円で全体の56%と過半数を占める。GaNは35億5900万円で40%となった。Ga2O3とAlNは市場が立ち上がったばかりで需要はまだ小さく、ダイヤモンドも研究開発段階にとどまっている。
今後の市場規模について同社は、2017年に前年比108.8%の96億400万円となり、2018年は105億4300万円を見込む。2023年には152億9500万円と予測する。
2023年の材料別構成比は、SiCが57%(87億4900万円)を占め、GaNは31%(46億9700万円)となる予測だ。また、Ga2O3の構成比は6%(8億7200万円)、AlNは4%(6億4500万円)まで高まるという。ダイヤモンドは2%(3億3200万円)で、2023年以降に本格的な需要期を迎えると予測した。
ワイドバンドギャップ半導体単結晶市場を予測するにあたって同社は、SiCを中心に2020年以降に車載システムへの採用が成長のカギを握るとみている。車載用途は単結晶製品としての信頼性と、安定した供給を可能とする量産技術の確立が必須となるアプリケーションだからである。加えて量産効果による製造コストの低減も期待できるとみている。
市場拡大に向けて、技術課題もいくつか挙げた。材料基板サイズの大口径化技術や結晶欠陥が極めて少ない高品質の単結晶製造技術、そして半導体チップやモジュールにするための製造技術などである。
今回の調査は、2017年4〜9月に実施。ワイドバンドギャップ半導体単結晶メーカーや研究機関などに対して、同社専門研究員による直接面談などを行った。
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