現在の都市部における問題点としては、渋滞やエネルギー効率の他、スペース上の制約(駐車スペースなど)がある、利便性に欠ける(主要な駅などから遠い)などが挙げられる。
Parent氏は、「われわれに必要なのは、もっと早いスピードで走行することができる、共用可能なコネクテッド電気自動車だ」と述べる。AutoKabのCEOであるHolguin氏は、「われわれが解決しようとしているのは、ラストマイルの問題だ」とまとめる。
Holguin氏は、「自動運転車は、自動運転バスやタクシーなどのサービスとして共有されない限り、渋滞を解消できないどころか、最悪の場合は逆に渋滞を増加させる可能性もある。AutoKabの目標は、1人で運転するドライバーに戦いを挑むことにある」と述べる。
AutoKabの主要社員は、技術と輸送という2つの異なる分野の出身者で構成されている。Holguin氏は、「当社は、自動運転車を実用化していく上で、欠けている点を補うための技術を採用していく。具体的には、公共交通事業者向けに、業界初となる走行距離ベースの自動運転サービスを提供していきたい考えだ」と述べている。
AutoKabは、安全性とデータ分析に焦点を絞った技術開発を手掛け、各都市と協業しながら、より高効率な大量輸送の実現に向けて取り組みを進めている。
「AutoKab」とは、「Automation Kits for Autos and Buses」の略である。同社は、ハードウェアの開発も手掛けている。CTO(最高技術責任者)を務めるCristian Sandu氏は、「当社の自動化キットは、あらゆる種類の自動車で使用することが可能だ。安全性確保のために、レーダーやライダー、ビジョンシステムなどのさまざまな種類のセンサーの他、コンピューティングプロセッサ(Intel製、NVIDIA製など)を同梱している」と説明する。
Sandu氏は、「車両にキットを適用するには、ソフトウェア補正などの追加作業が必要になる。しかし、プラグアンドプレイという点では、インストールおよびアンインストールすることが可能なため、車両の種類に応じて、CANバスまたはFlexRay経由で車体に接続することができる。AutoKabが自動化キット開発プロジェクトを始動させたのは、ハードウェアを販売するためではない。自動運転車の開発コストを削減したい全ての人々にとって、非常に重要なキットだからだ」と述べている。
Holguin氏は、「AutoKabは、各都市と協業することで、工業輸送事業者が、効率的なラストマイルサービスを実現できるような計画を立てられるようにしたいと考えている。ハードウェアを販売することが目的ではない」と強調する。
(後編へ続く)
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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