正確に顔認証ができているかを示すために、「本人がマスクを着けて審査を受けた場合」と「他人のパスポートを用いて審査を受けた場合」のデモも行われたが、どちらのケースも顔認証でパスできず、ゲートを通過できなかった。


左=マスクをつけて顔認証ゲートの前に立つ/中央と左=本人確認ができないため、このようなメッセージが画面に表示されている。基本的に、顔認証ゲートは“本人だと想定して”認証しようとするので、パスポートの画像との一致点を懸命に探そうとする(クリックで拡大)だが、今の顔がパスポートの写真と結構違う……という場合でも、正確に本人確認が行えるのだろうか。CNS社 イノベーションセンターでシステム部 システム2課の課長を務める窪田賢雄氏は、「当社の社員も含め、多数の顔画像データを集め、経年の影響を受けないためにはどのパーツを見ればいいかという分析を行った」と説明する。「そのため、しわやシミ、化粧、太った、痩せたなどの要素に左右されず、正確に本人確認を行える」(同氏)
実際、羽田空港に導入してから約2カ月が経過した今も、順調に帰国審査が行えているという。記者説明会で行われたデモでも、パスポートをかざしてからわずか5〜6秒程度で審査が完了していて、顔認証もかなりスムーズに行われている印象を受けた。
開発に当たっては、入念な実証実験も行った。「帰国審査で使うには厳格な本人確認が求められるが、一方で使いやすさも重要になる。実証実験の参加者に、目の近くにカメラを装着してもらい、視線分析なども行った。大学の心理学の先生にも協力してもらい、特に高齢者でも迷うことなく使えるようなシステムの実現を目指した」(窪田氏)
現時点でCNS社は、顔認証ゲートの展開は国内を対象としていて、海外への展開は考えていないという。帰国審査以外の分野への応用としては、「データセンターへの入室など、極めて厳重な本人確認が必要な用途に展開できるのではないかと考えている」(窪田氏)とする。
窪田氏は、「顔認証ゲートは全てパナソニックの技術を使っている。当社にはデジタルカメラの開発で培った画像補正の技術などもある。帰国審査は厳格に行われなければならないが、それを感じさせない使いやすさも実現できた。羽田空港での採用には、顔認証技術の性能に加え、そうした点が評価されたと考えている」と語った。
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