「ISSCC 2018」の技術講演を紹介するシリーズ、最終回となる今回は、最終日のセッション28〜31を紹介する。東芝グループは次世代の無線LAN技術「802.11ax」に対応する送受信SoC(System on a Chip)を発表する。その他、114本の短針プローブによって脳神経信号を並列に取得するシステムや、カーボンナノチューブFETとReRAMによる脳型コンピューティング回路などが発表される。
2018年(今年)2月に米国サンフランシスコで開催予定の国際学会「ISSCC 2018」の概要をシリーズでお届けしている。前回は、メインイベントである技術講演セッションの最終日午後(現地時間で2月14日水曜日午後1時30分開始予定)から、セッション26〜セッション27のハイライトをお届けした。今回は、同じ午後のセッションから、セッション28〜セッション31のハイライトをご紹介していく。
繰り返しになるが、最終日の午後にはセッション26〜セッション31の6本のセッションが予定されている。その中でセッション30とセッション31の2本はハーフセッションである。全体としては5本のセッションが同時並行で進行する。
セッション名は番号順に、「通信とセンシングに向けた高周波技術」(セッション26)、「パワーコンバーター技術」(セッション27)、「無線接続」(セッション28)、「最先端のバイオメディカルシステム」(セッション29)、「次世代メモリ」(セッション30)、「機械学習に向けたインメモリ・コンピューティング」(セッション31)となっている。
セッション28の「無線接続」では、次世代の無線LAN技術「802.11ax」に対応した送受信(トランシーバー)SoC(System on a Chip)と低消費電力のBLE(Bluetooth Low-Energy)送受信回路が日本から発表される。
東芝グループ(東芝、東芝デバイス&ストレージ、東芝メモリ、東芝マイクロエレクトロニクス)は、次世代の無線LAN技術「802.11ax」に対応した送受信SoCを開発した(講演番号28.1)。無線LAN規格の「802.11a/b/g/n/ac」および「802.11ax」のアクセスポイントに向けた。1024値のQAM(直交振幅変調)実行、4×4のMIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)対応、周波数依存のIQ誤差を較正、2.4GHz帯電子レンジの漏えい電波による干渉検出とチャンネルの自動切り替え、などの機能を搭載している。
5GHzの送受信における送信回路の誤差ベクトル振幅(EVM:Error Vector Magnitude)は−38.1dB、受信回路の感度は−57.7dBmである。製造技術は28nmのCMOSプロセス。
東京工業大学(東工大)は、消費電力の低減を重視したBLE(Bluetooth Low-Energy)送受信回路を発表する(講演番号28.2)。受信回路の消費電力は、感度が−94dBmのときに2.3mWとかなり低い。送信回路の消費電力は変調誤差が1.89%のときに2.9mWである。製造技術は65nmのCMOSプロセス。
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