2017年12月のこと。米国サンフランシスコで開催される「IEDM 2017」で、米国ハワイで2018年6月に開催する「VLSIシンポジウム」の非公式ブリーフィングを行うという、何とも不思議な案内状が届いた。一体、どういうことだったのか。
その案内状は、筆者をいささか困惑させた。半導体デバイス・プロセス技術の国際学会「IEDM 2017」の広報代理店から昨年(2017年)11月28日に、1通の案内状が電子メールで届いた。その内容が、困惑の原因である。
案内状は以下のように告げていた。米国サンフランシスコで開催予定のIEDM 2017において、VLSIシンポジウムの実行委員会(厳密にはエグゼクティブコミッティ)が「非公式なブリーフィング(informal briefing)」を開催する。日時は2017年12月4日の午後5時15分(現地時間)、場所はIEDMの記者室(プレスルーム)である。
「非公式なブリーフィング(informal briefing)」をプレスルームで開催するという。どういうことなのだろうか。非公式と呼ぶからには、ブリーフィングの内容を記事にしてメディアに掲載できない可能性がある。記事にできないのであれば、ブリーフィングに出ても、あまり意味がなさそうだ。
なぜならば、VLSIシンポジウムの実行委員会は毎年4月に、予告編となる記者会見を東京で開催しているからだ。ちなみにVLSIシンポジウムの開催時期は毎年6月中旬である。開催のおよそ2カ月前に、シンポジウムの概要が報道機関に公表される予定となっている。
正直に告白する。実は、迷っている間に筆者は「非公式ブリーフィング」の予定を忘れてしまった。そして12月4日の午後5時すぎ、プレスルームでノートPCに向かって原稿を作成していたところ、周囲が何やら慌ただしくなった。テーブルが隅にどかされ、椅子が並べられている。そこで「非公式ブリーフィング」のことを思い出した。
慌てて広報代理店の担当者に、「非公式ブリーフィング」の内容を記事にして良いのかどうかをたずねた。即答で「ぜひとも記事にして欲しい」。すると「非公式」と書いてあったのはなんだったのだろうか。細かいことを詮索しても意味があまりないので、急きょ、ブリーフィングに参加した。
VLSIシンポジウム実行委員会による「非公式ブリーフィング」とは、2018年6月に開催されるVLSIシンポジウムの概要説明だった。説明してくれたのは、VLSI回路シンポジウム(Symposium on VLSI Circuits)のチェアをつとめるGunther Lehmann氏である。説明用スライドのトップには「VLSI Circuits JOURNALISTS MEETING at IEDM」と書かれていた。
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